がん克服へ

   ●がんを告知されたとき
   ●がんは超慢性病
   ●セカンドオピニオン
   ●抗がん剤について
   ●抗がん剤の効果判定基準の重大欠陥
   ●最強のがんファイター
   ●仮説「がんバリア理論」
   ●水戸黄門さんの印籠

がんを告知されたとき

現代日本では人間はいずれ死ぬということが忘れられていて、
生の場に死がどこにもないのですから、
人生の最後を完成させるという準備や思想が見当たりません。
「死」を認識することは「生」をイキイキ活かすことにつながります。

そこで「がん告知」をされると、「がん=死」のイメージが強いために
本人も家族もそれこそ気が動転することになります。
直下型のものすごいストレスです。

末期がんと宣告された人の心理状態は
否認、怒り、取引き、抑うつ、(喪失感)、最後に受容という段階がありますが、
「受容」に至って初めて「克服」へ向かってスタートすることができるのです。

現実をありのまま受け容れること、
そして既成概念にとらわれないことが大切です。


がんはあなたの人生の中で乗り越えてきたいくつかのストレスの一つに過ぎません。
ストレスをスパイスに転換し、がん克服の道を一緒に歩んでくれるパートナーは
今あなたの身近にいるはずです。
暗闇があって光が際立つように、死を認識することによって生は輝き、
その周囲のかけがえのない大切な存在に気付かされます。

もしも最悪のケースを考えるにしても、
そのようなことは短期間で済むはずですから
マイナスばかりの想い悩むことなんてササッと済ませて、
問題解決のための、すなわち「がん克服」のための最善の方法を探しましょう。

以下、拙著「がん克服へ、五つの提言」小学館スクウェア、から抜粋します。

がんの九割以上は、一般の慢性病と比べても進行はずっとゆるやかで静かですし、
過激な治療をしない場合には急死することも滅多になく苦痛も少ないのです。

日常生活はもちろん仕事もできますし、ずっと平穏に過ごせます。
がんについて本当に理解している人は
「死因となる病気を選ぶことができるのなら、
私は間違いなくがんを選ぶ」と断言します。

過度の治療さえしなければ
「死ぬ七日前までは何年もかけてやりたいだけ仕事もできる。
そして住みなれた自分の家でおだやかに家族と別れを告げてから、
コトッと人生を終えたい」という思いなのでしょう。

がんの苦痛を抑えるのは容易ですし、がんによってなくなる場合も
けっして苦悶の死ではなくゆったりとしたおだやかな死であるからです。

自分に与えられた時間を自分で決めて、
大切な人とともに前向きに豊かに生きていく、
こんな生き方を選べるきっかけにもなります。
      「がん克服へ、五つの提言」P9~P10より抜粋

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がんは超慢性病

患者さんやその家族の方に「がんは超慢性病ですから・・・」と話しますと、
みなさん一様に表情がほころび、
光が差し込んだようにほんわかした笑顔を見せてくれます。

なかにはこみ上げる涙を抑えきれなくなる人もいらっしゃいました。

そんな瞬間と出会うたびに、
「がん告知」の日から涙でぬらした枕や、
歩んできた灯火ひとつない夜道をうれい、
同時にがんをとりまく現状に対して憤りを感じます。

いたずらに「がん」におびえて心の背中を丸めるのは間違っていますし、
一度しかない人生の最終章をつまらないものにしてしまうからです。

「がん」と出会った現実をありのまま受け入れ真正面から向き合い、
人生を喜びと感謝に転換する絶好の機会にしていただければと願っています。


ご自分の人生と大切な人を振り返り、その大切な人とともに
「自分の存在」と「生きる意味」を発見し、確認していく人生を歩むことができます。
がんは「超慢性病」なのですから。
たった今この瞬間から、苦しみ悲しむ自分はどこかに捨ておいて、
喜びと感謝で生きる自分を引き出してみてください。

「身体は病気になっても、心までは病気になるまいぞ。
心は喜びと感謝で一杯なんだ」という気持ちで
「ごきげんさん」に生きていかれれば、必ずやがんは克服され、
「幸福」はあなたの目の前にあらわれることを私は約束します。
    「がん克服へ、五つの提言」P9~P10より抜粋


「がんは超慢性病」であることを知るだけで、ホッとして気持ちが楽になりませんか?
そして、あわてることなく治療法を選択できる冷静さを、あなたに持って欲しいのです。

なぜなら、毎年非常に多くの人やそのご家族が、
気が動転する最中に、すすめられるがままに受けた激しい治療に対して
後悔していると考えられるからです。

気が動転していなければ

がんは慢性病だと知っていれば

理屈に合わない治療は受けない

とり返しのつかない後悔をしなくても済む

【コーヒーブレーク】
免疫療法のなかでも、よく似た言いまわしがいくつかあります。

癌免疫療法も免疫細胞療法も結局は同じ意味です。

免疫細胞を強化して、がんを殺傷しようとする療法なのですから。
また種々の白血病に対する免疫療法を白血病免疫療法と
言われることもありますが、これも同じことです。

自律神経免疫療法とは
精神神経免疫療法または精神神経内分泌免疫療法ともいえます。

これは、自律神経系と内分泌系、そして免疫系は
相互に密接に影響しあっていることから、
自律神経系からのアプローチにより免疫力を高めようとする方法です。

私がこの自律神経免疫療法を重要視している理由は、
免疫系を高めるだけでなく、生活の質(QOL)を充実するためにも
たいへん有効であるからです。

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セカンドオピニオン

がん治療法の選択

近年、セカンドオピニオンの重要性は多くのメディアにて繰り返し言及され、
そしてそれは正論と認知されています。

では、セカンドオピニオンが重要だということは、
最初の病院ですすめられた治療法は・・・・・?!☆▲〇※∞★〒?!

確かに、同じ人が3ヶ所の病院にいっても、
病院ごとに異なる治療法をすすめられることもあります。
また、外科、放射線科、内科ごとに治療法が異なるのもヘンです。

そうなると2番目に聞く意見(セカンドオピニオン)は
信頼できるのかどうかも疑問になってしまいます。

問題が複雑になり、こんがらがって出口が見えなくなったときには
原点に立ち戻ることも解決のための一策です。そこで「がん」の発生から考えます。


がんは免疫病

私達人間が生きていくことによる肉体的、精神的ストレスが
正常細胞の遺伝子を傷つけ、正常細胞が異形細胞に変異し
数年かけてがん細胞になります。

成人では毎日数百から数千のがん細胞が発生しているといわれています。
ここからが重要です。(「がん細胞」と大きくなった「がん」とは分けて考えます。)

〇毎日生まれるがん細胞は、免疫細胞によって、パーフェクトに殺傷される。
〇だから免疫細胞がふつう程度あれば「がん」にはならない。
〇免疫細胞の減少や弱体化している間に、
天敵のいない間にがん細胞は分裂、増殖を続け「がん」になる。

<参考>
〇免疫細胞の中で、がんを殺傷する力の強い順に列挙します。
キラーT細胞>活性化マクロファージ>NK(ナチュラルキラー)細胞
〇治療のためにも、予防のためにも、
免疫力をカンタンに判定する指数は必要です。
キラーT細胞もNK細胞も血液検査のリンパ球数でカウントされますので
私はリンパ球数を免疫力の簡易な判定指数としています。

くり返しますがポイントは
① 免疫力が正常だと「がん」になりにくい。(再発や転移もしにくい)
② 免疫力が低下すると「がん」になりやすい。(再発や転移もしやすい)

この点を忘れなければ、どのような治療を選択するにしても、
免疫療法は欠かさないはずです。

もうひとつの治療法選択の基準は
「健康寿命」、生活の質(QOL)についてだと考えます。


副作用はなく、生活の質を高め、「健康寿命」を延ばすことを重要視するか、
それとも、激しい治療によって、ふつうの生活ができなくなっても
例えば一年間の延命のためにでも、その激しい治療を選ぶかどうかですが、
この判断はやはり、ご本人が決めるべきことでしょう。

おおむね、免疫療法は生活の質を高めますが、
三大療法(手術、放射線、抗がん剤)は免疫を低下させるため、
残念ながら副作用(苦痛)はさけられません。

ことに末期のころの三大療法は致命傷になることも多々あります。
(なかには生活の質を高めることを目的とした手術や放射線もありますが)
詳細は拙著「がん克服へ、五つの提言」を是非お読み下さい。

セカンドオピニオン

セカンドオピニオンは、
異なる系列の病院、異なる「科」の医師に聞くことも重要ですが、
私がおすすめしたいのは、セカンドオピニオンを求める前に
最初の担当の医師に納得できるまで説明を求めることです。

自分の血液検査の結果はもらい(当然ですよね)、画像診断、病状などを聞き、
そしていくつかある治療法の説明を受けます。

一度の説明で本当に理解できないことは多いのですから、
二度目は疑問を箇条書きにしておいて、再度質問しましょう。

ここは信頼関係が生まれるかどうかの大切なところですから、
決して遠慮などしてはいけません。
(この場合の遠慮は、ご自分の命に対して無責任ではないでしょうか。)

皆さんの、このような姿勢こそが日本の医療をより良くする最良の方法ですし、
心ある医師も皆さんの質問を待っているはずなのですから。

心ある医師は、日本中の津々浦々にたくさんいますよ~~。。

セカンドオピニオンを求めるにしても、
これらの過程を経てはじめて、その価値も充実するものと考えます。

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抗がん剤について

私たちが苦しさを覚悟してでも抗がん剤治療を受ける理由は、
「がんが消失する」とか「生存期間が延長し、元気になれる」ことを
期待するからです。

「お医者さんは、私にとって一番いい治療法をすすめてくれるはずだ」
という思いや、医師の説明する「有効率」や「縮小率」が
「30%はある」「五分五分だ」との言葉で、
なんとなく抗がん剤治療に同意してしまいます。

ところが抗がん剤による「有効」程度のがん縮小では、
延命作用どころか寿命を縮める可能性が高く、
本来の「治癒」とはまったく別のものです。
というと皆さんは「そんなはずはない!」と激高するかもしれません。

しかし悲しいかなこれは事実なのです。
抗がん剤治療法について熟知している医師は、日本では少ないし、
その大半の人は臨床の場にいるのではなく、
新薬の研究、開発に動員されています。

そんな中でも長年癌研究会の癌化学療法センター長であった塚越茂氏は、
抗がん剤について見識が深く、次のように明確に記述しています。

「化学療法で治癒が望めるがんとしては
急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫、睾丸腫瘍、絨毛がん、卵巣がんの
5つが存在し、治癒率は
各々20%、50%以上、75%以上、90%、10~20%である」
その他ほとんどの小児がんも「治癒」を望める可能性は高いでしょう
(もちろんその効果も早期がんと進行がんとでは異なります。)

抗がん剤によって治癒を望めるのは5種類のがんであり、
その確率が10~20%程度のものも含むと言われると、
私たちはその治癒率の低さに愕然とさせられます。

現実には全体の9割のがんはこれら以外の部位のがんであり、
抗がん剤による治癒は期待されにくいし、
抗がん剤で苦しむだけでなく副作用死の確率もあり、心配になります。

厚生労働省による抗がん剤の効果判定は次のような基準で判定されています。
「フムフム、そういうものか」と見過ごしてしまいそうですが、
この効果判定基準には医師も含めて多くの人が気づかない重大な欠陥があります。

■化学療法(抗がん剤)の効果判定基準

著効 がんの全ての病変が消失。その状態が4週間以上続く場合。
有効 がんの病変の長さで70%、面積で50%、
体積で35%以下になった状態で、
なおかつ新たな病変のない状態が4週間以上持続した場合。
やや有効 縮小率は「有効」をクリアしたものの、
その状態が4週間以上持続しなかった場合。
不変 面積が50%未満の減少から25%未満の増大までの状態で、
新病変が出現しない状態が4週間以上続く場合。
進行 上記の範疇に入らないすなわち面積で25%以上の増大、
あるいは新病変の出現などがある場合。

※最近注目され始めた効果判定に「長期不変」があります。
「不変」の状態が6ヶ月以上続き、なおかつ新たな病変が出現しない状態
という効果判定で、今後はもっと重要視されるべき基準でしょう。

次のような点を知っていると、この効果判定基準の欠陥を理解されるかと思います。

1、抗がん剤は最初ほど効果があり、回数を重ねるほど効果がなくなる。
1回目に効果があっても、2回目にはすでに効果がなくなることもあります。
がんは抗がん剤に対しては非常に高く「薬剤耐性」を獲得し効果はなくなります。
がんの細胞膜に抗がん剤を排出するポンプがあることや、
がん細胞内に抗がん剤を解毒する能力があることによります。

2、抗がん剤の副作用は、足し算や掛け算のように、回数を重ねるほど過酷になる。
最後のこの1回と思ったその1回が、死に追いやる1回になることもあります。

3、抗がん剤の効果発現は、その種類によって早くて5日、遅くても2ヶ月以内。
抗がん剤は毎回その効果判定をすべきですが、
副作用だけで効果はすこしもない場合、
同じ抗がん剤を長期間続けると「悲劇」を生む典型的なケースになります。

4、抗がん剤によって一時的縮小しても、残ったがんは必ず再び増殖を始めます。
「有効」程度の縮小による延命日数は「縮小し始めてから縮小が止まり、
再び増殖し始め、もとの大きさに戻るまでの日数」であり、それはほぼ1~2ヶ月程度。
この程度の延命期間では、副作用で苦しむ期間はもっと長いので、
健康でなおかつ元気でいる期間は短くなります。

5、抗がん剤によるダメージはがんよりも免疫細胞のほうが強く、
そのダメージの回復には1~2年を要します。
その間にがんは成長スピードを急激に早める可能性がでますし、
さらには新しいがんが発生するのに非常に好ましい体内環境になります。

自然界でも天敵がいなくなった虫や動物は異常発生し暴走しますが、
三大療法による免疫力低下のために、
免疫細胞という天敵がいなくなった「がん」は増殖成長しやすくなります。

三大療法の致命的な欠点は「免疫力低下作用」です。
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抗がん剤の効果判定基準の重大欠陥

抗がん剤の効果判定基準の重大欠陥として次の点を指摘できます。
1、最も大切な延命効果については一言も記入されていない。
私たち患者側が治療法を選択する大切なポイントは
延命効果や生活の質の改善ですが、
その延命効果の判定がポッカリと抜けています。

ところがほんの一時的な期間のがんの縮小効果だけを見ていて、
延命効果については無関心であるかのような効果判定基準になっています。
延命効果の判定には時間がかかるにしても、
随時再評価し、発表していくべきでしょう。

仮に抗がん剤によってがんは一時的に半分に縮小し、
2ヵ月後に元の大きさに戻っても、この場合の延命は2ヶ月とは限りません。
なぜなら抗がん剤による免疫抑制のためにがんの成長スピードが速くなったり、
多臓器不全や免疫力低下による感染症により、
短命になる可能性があるからです。

2、効果判定はわずか4週間の持続。

「著効」の判定を見てみますと「がんのすべての病変が消失」とあり、
つづいて「その状態が4週間続く場合」とされています。

1個のがん細胞の大きさは約0.01ミリとされていますが、
最新の検査機器で発見できるのが、その100倍の大きさの1ミリです。
一般に普及されている検査機器では5ミリ程度の大きさでしょう。

がんは消失したかもしれませんが、すこしの間だけ5ミリ以下なのかもしれません。
もしもがんが消失しているのなら
「その状態が4週間続く場合」というのはおかしいので、
「消失」ではなく「5ミリ以下になった」とするほうが正確でしょう。
もちろん「著効」は大歓迎ですが、その状態がわずか「4週間」はいただけません。

3、「有効」とされる程度の縮小率では意味がない。

「有効」は「面積で50%以上の縮小が4週間持続した場合」とされています。
ところが、たとえば手術で体積の80%以上を切除しても、
それで延命すると思う外科医はほとんどいません。

根治手術とは目に見えるがんのすべて、
すなわちがんのほぼ99%を切除しています。
それでも一年で再発する人は少なくないようです。
抗がん剤による延命効果は、「有効」程度の縮小では約1~2ヶ月、
99%の縮小で延命効果はやっと1年だろうといわれています。

「長期著効」や「長期有効」、「長期不変」なら評価できるのですが、
わずか4週間の「有効」「やや有効」ましてや副作用が強いとなると、
私たちは無駄に苦しむことになります。

抗がん剤の「有効」は、私たちが期待する「治る」とか「延命する」
そして「生活の質が良くなる」などとは180度も異なる意味なのです。

医師から「有効率20~30%」といわれると
私たち患者側は「20~30%は治るのなら、多少の副作用は頑張って耐えよう」
と思ってしまいがちですが、この認識のズレによって悲劇は生まれます。

抗がん剤の保険適用を承認する厚生労働省の医薬安全局管理課は
「抗がん剤を早く患者に供給するため、
少なくとも10%程度の患者でがんが縮むとわかった段階で販売を認めている。
延命効果はもともと、販売前には審査していない」と話しています
(2000年3月7日、毎日新聞夕刊より)。

「10%程度の患者で」ということは、
残りの90%の人は過酷な副作用で苦しむだけになりますし、
「がんが縮む」というのも残念なことに「有効」程度の縮小なのでしょう。

しかも「がんが縮む10%の人」の延命効果さえも審査していないのでは、
抗がん剤の判定基準に重大な欠陥があるといわざるを得ません。
この基準の一刻も早い再評価が望まれます。
日本胃がん学会のアンケートによると、
効果はないと定評のある胃がんに対しての経口抗がん剤を、
一般病院の4分の3が決まりごとのように使用し続けています。

この事実に対して、国立がんセンターでは「効果ははっきりしていません。
服用しないよりしたほうがよいとの考えは間違いです」
と安易に抗がん剤を処方しすぎる現状に対して警告し、
「証拠なしに『これが最善だ』と患者に押し付けるのは
医師の裁量権の誤用だ」と非難しています。

証拠というのは、患者側に利益があるというデータであり根拠のことです。
証拠がなければ専門医が良かれと思って行った治療でも、
患者さんに害を与える場合さえあるのですから、
人の生命に直結している医療の現場には欠かせないものなのです。

例えば1970年代のイギリスでは手術できない肺がん患者に対し、
副作用を減らして効果を上げるため、
多種類の抗がん剤を少しずつ使う専門医が多かったのですが、
これが最善だとの明確な証拠がなかったために臨床試験が行われました。

188人の患者に対して抗がん剤を4種類使うグループと1種類だけ使うグループ、
そして抗がん剤を使わないグループの3つのグループに分けて治療しました。
皆さんはどのグループが最も長生きしたと思いますか?

最も長生きしたのは抗がん剤なしのグループで、
4種類使うグループは最低の結果が出ました。

科学至上主義をうたう西洋医学が臨床の現場では非科学的であり、
何の根拠もなく医療を行なっていたことを、
欧米では修正されても日本ではいまだに改善されていません。

欧米諸国では情報がキチンと公開されているので、
一般的に医師も患者さんも抗がん剤に関しては非常に慎重です。

もしも医師が末期がんの人に抗がん剤をすすめると、
激しい反発と非難を受けるそうです。
それほど末期がんの患者さんに抗がん剤を投与するのは
現状ではより慎重に行なうべきことなのです。
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最強のがんファイター

成人には、毎日数百から数千個のがん細胞が発生しているといわれます。
それでも私たちの免疫細胞たちは毎日身体中をパトロールして、がん細胞と戦い、
完全勝利を続けています。

極端なたとえですが、毎日実際より十倍も多い数万個のがん細胞が生まれたとしても、
私たちの免疫細胞やその仲間たちが100%やっつけてくれるので安心です。

がん細胞を攻撃して殺すのを得意とする免疫細胞には、
リンパ球の中ではキラーT細胞とNK(ナチュラルキラー)細胞があります。
そのほかマクロファージが活性化した活性化マクロファージという免疫細胞も
がん細胞を殺傷します。

ちなみに私たちのリンパ球の中には、
NK細胞だけでもその数は50億個から多い人で1000億個もあるのですから、
それこそ「大船に乗ったつもりで」いてよいのです。

キラーT細胞やNK細胞はがん細胞にペタッとくっつき、
内包するパーフォリンなどのタンパク質をあたかも弾丸のようにがん細胞に打ち込んで
(キラーT細胞はさらにグランザイムという顆粒も打ち込む)孔を開けて、
見事にがん細胞を殺してくれます。ほんの数分でやっつけます。

どんな細胞でも孔を開けられると生きていくことはできません。

キラーT細胞とがん細胞
キラーT細胞が(右)が、
がん細胞(左)に接触している。
そして内包するパーフォリンという
タンパクをがん細胞に弾丸のよう
に打ち込む。
穴を開けられて空洞化した
がん細胞の死骸と、
役目を果たして休止している
キラーT細胞。

活性化マクロファージは「喰いしん坊」で、がん細胞をぱくっと食べたり、
かじったりすると同時に一酸化窒素(NO)をがん細胞にあびせて殺傷します。

顕微鏡などの拡大画面で見ますと、
私たちの免疫細胞たちは鼻歌でも歌いながらイキイキと、
余裕を持ってがん細胞をやっつけてくれているように見えます。

ところが免疫力が低下しますとこれらの免疫細胞の数はてきめんに減り、
内包するパーフォリンも減ってしまいます。

その結果がん細胞をやっつけるどころか
逆にがん細胞にやっつけられてしまう事態になることもあります。

キラーT細胞とNK細胞は同じリンパ球の仲間なのですが、
それぞれ異なる性質をもっています。

NK細胞は私たちの身体中をぐるぐる巡回パトロールして、
あやしい細胞を見つけて異物だと思うだけで手当たり次第にやっつけます。
これを「非特異的免疫」といいます。

キラーT細胞は、がん細胞のもつ目印を確認して初めて活性化し、
がん細胞だけに集中してピンポイントにがんを殺傷します。
これを「特異的免疫」といいます。

キラーT細胞はひとたびがん細胞を確認すると、
活性化すると同時に毎日毎日2倍2倍と増えていくのです。
これではがんはひとたまりもありません。

また、「キラーT細胞は、がん細胞の持つ目印を確認して初めて活性化する」
ということは、
2百種類はあるとされるすべてのがんに対応できると考えられます。

がん細胞の持つ目印を確認さえすれば、
キラーT細胞はどんな種類のがん細胞に対してでも特異的に活性化するからです。

キラーT細胞は免疫細胞の中でも最強の「がんファイター」なのです。

直接がんを殺すこれらの免疫細胞を助けて活性化する「免疫系の仲間たち」も
たくさん知られています。

IL(インターロイキン)-1や、IL-2、IL-12、インターフェロンγ、
マクロファージそして樹状細胞などです。

これらの免疫系の仲間たちはまさに強力なチームワークでスクラムを組んで、
がん細胞を徹底的に根絶してくれます。

免疫学を研究している医師が「がんは免疫病である」というのは当然のことですね。

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仮説「がんバリア理論」

私は今回ホームページ上で、はじめて「がんバリア」理論を公表し、世に問います。
「自然治癒力」を高めるという理想的な「免疫療法」が、
がんに勝利するための道のりにある避けては通れない障壁、
これが「がんバリア」です。

キラーT細胞は個々の「がん細胞」なら簡単に殺せるのに、
大きくなった「がん」を殺せないのはなぜか。

がんとキラーT細胞を身体の外に取り出して混ぜると、
キラーT細胞は大きながんでさえ見事に殺しますが、
がんが身体の中にあるとキラーT細胞の力が及ばないのはなぜか。

一方で、がんの分泌する免疫抑制物質によってキラーT細胞の活性は低下し、
各種がん治療の効果が明らかに低下することがわかっています。

これらを見つめると「がんバリア」の発想は生まれます。

「がんバリア」を想定すればすべてのつじつまが合い、
「がんバリア」を明確に認識すれば、免疫療法によって、
がんとの闘いで「人体の勝利」を勝ち取る手法も生まれる、かと考えます。

がん細胞の天敵は免疫細胞たちです。

がん細胞は生まれるそばから免疫細胞によって撲滅されるのですが、
何らかの原因で私たちの免疫力が低下している状態になると、
その隙にこれ幸いと免疫細胞から逃げ延びて、
まるでゲリラのように隠れたりちょっと変装したりしながら生き延びます。

このときに私たちの免疫力が元に戻れば、
これらのがん細胞も免疫細胞に発見されて簡単に殺傷されるのですが、
免疫力が低下したままの状態でいると、
がん細胞はねずみ算的に分裂を繰りかえし増殖成長していきます。

がん細胞も大きくなってたくましくなると、知恵も力もついてくるようです。

がんはいつまでもゲリラのように逃げ回るだけでなく、
天敵の免疫細胞から自分を守るために、
まるで煙幕を張るように毒性のある分泌物を出します。

この分泌物の代表的なものが免疫抑制酸性タンパク(IAP)です。

IAPはがんの分泌するいくつかの免疫抑制物質の一つなのですが、
血液検査で知ることができますので、
便宜上IAPをがんの分泌する免疫抑制物質の総称として使うことにします。

IAPは文字通り免疫細胞を抑制、すなわち弱体化させます。

がんがIAPを続けてドンドン分泌してIAPが重層化されると、
まるで濃霧のように一寸先も見えなくなり、
免疫細胞はがんを発見しにくくなります。

たとえ、がんを発見しても
濃霧のようなバリアをくぐって入っていくことは難しくなってしまいます。

これらのIAPが重層化された煙幕のような障壁を「がんバリア」と命名します。

「がんバリア」はがんの周囲を取り巻いて、がんを免疫細胞たちから守ります。

「キラーT細胞は最強の『がんファイター』であり、
がん細胞の持つ目印を確認して初めて活性化し、
どんどん増えて、がん細胞だけに集中してピンポイントにがんを片っ端から殺傷する」
ということは先ほど述べました。

「がんの目印を確認して初めてがんを殺傷する」といことは
「がんの目印を確認できなければがんを殺傷できない」ということにもなります。

このことは先ほどの「免疫の定義」とも重複します。

すなわち「免疫とは自分と自分でない敵を識別して敵を記憶し、
その敵を攻撃して排除する」ということです。

がんの目印(抗原)をちょっとつまんで、
キラーT細胞に持っていって知らせる(提示する)役目をする細胞(抗原提示細胞)は、
マクロファージの兄弟のような存在の「樹状細胞」であることが最近わかりました。

ところが、「樹状細胞」は
がんの周囲に取り巻く「がんバリア」を突き抜けることができないと、
がんの抗原の一部をちょっとつまんでキラーT細胞に提示できません。

たとえ樹状細胞が運良くキラーT細胞に抗原提示できて、
キラーT細胞が活性化し数を増やしたとしても、
キラーT細胞自身が「バリア」を突破できなければ
がんに接触し孔を開けて殺傷することはできません。

いくら免疫力を強化しても、期待されるほどの効果を得られない最大の原因は
「がんバリア」の存在にあったのです。

がんの分泌する免疫抑制物質からなる「がんバリア」は
次のような悪影響を及ぼします。

1.がんを殺す免疫細胞たちを弱体化させる。
 免疫細胞の数もその活性化も低下させる。
 体内環境を非常に悪化させて、がんの成長、転移、再発を促進する。

2.がんを殺すために近づこうとする樹状細胞やキラーT細胞の
 進路をふさぐ壁になる。

3.免疫細胞を狂わせることと、がんが分泌する血管新生因子により
 新生血管を作り、がんの成長と転移を促進する。

4.末期がんの頃にはがんバリアが増大して全身に回り、
 悪液質と呼ばれる状態になる。

いくら食べてもどんどんやせて顔色は黒ずみ、全身が衰弱してジワジワと辛くなる。

「がんバリア」を解消しながらの免疫療法はこれらの難問を解決するため、
従来の免疫療法や他の治療法が色あせて見える程のすさまじい効果を期待できます。

「がんバリア」理論の根拠となるいくつかの事実や現象は、
私が新しく発見したものではなく、
医学界の多くの先人たちが苦労に苦労を重ねた末、検証確認された功績たちです。

しかしそれらは相互にあまり関連づけられないまま存在していました。

私は先人たちの偉大な研究成果のおかげで、
仮説を交えながらもまるでパズルを組み合わせるように
「がんバリア」理論を導き出しただけなのです。

たとえ多少の誤差はあったとしても、
いくつかの医療機関がこの「がんバリア」理論をたたき台にして
発展させ「がんバリア」を明確に想定し研究実践していけば、
「免疫療法」との併用によって、
人類の悲願「がん制圧」も夢ではなくなるかもしれません。

医療機関や、がん制圧を目的とする研究機関から正式に要請をいただければ、
「がんバリア」を抑制する物質についても喜んで公開いたします。

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水戸黄門さんの印籠

最強のがんファイターであるキラーT細胞を「水戸黄門さん」にたとえますと、

脇役をになっている「陽炎おぎん」「風車のやひち」と「うっかり八兵衛」
の役目をするインターロイキン12やインターフェロンγなどの力、
免疫細胞の材料、酸化されたがんの周囲を還元するものなども必要です。

そしてなんといても、「悪代官」であるがんを見つけて水戸黄門さんに伝え、
黄門さんの力をパワーアップしてがんをやっつけようと働く
「助さん」「格さん」である樹状細胞(抗原提示細胞)は欠かせません。

抗原提示をされなければキラーT細胞は活性化されず、
たとえがんの近くにいても攻撃しないからです。

代官が悪い奴で民衆を理不尽に苦しめていることを知って初めて、
黄門さんは悪代官をこらしめようと決断します。

ここで悪代官を守る奉行所の役人である「がんバリア」を解消するものがあれば、
それは水戸黄門さんの「印籠」にたとえられます。

「葵の御紋」の印籠があれば、悪代官を守っている岡引や奉行所も
侍たちもひれ伏して、代官を守ることをやめるからです。

印籠があって初めて水戸黄門さんはその力を最大限に発揮できます。

数年前から東京大学付属病院では次のような治療研究がなされていました。

①患者さんの血液から樹状細胞を分離し、体外でその数を増やす。
②同じ患者さんからがん細胞を取り出してすりつぶす。
③1と2を混ぜ合わせると、樹状細胞はこの患者さんのがんの情報を得て、
 細胞の表面に旗を立てるようにしてキラーT細胞へ提示する準備をする。
④この樹状細胞を注射で患者さんの身体に戻すと、
 体内のキラーT細胞は樹状細胞から
 がんの抗原提示をされて活性化し数も増える。

他のいくつかの大学や世界中の免疫療法のトップクラスの研究機関も、
この段階まではそれぞれの手法によって成功しています。

しかし、がんに対する治療の結果を見ると、たしかに効果は高まっているものの、
がんを撲滅できるというほどの画期的な成果はありませんでした。
なぜなのでしょうか。

体内で元気になったキラーT細胞の大軍も、
依然として強固な「がんバリア」の壁を突破できないために、
「がん」に接触できなかったものと考えられます。

キラーT細胞ががんを殺傷するためには、次の二つの段階が不可欠です。

①樹状細胞が「がんバリア」を突破して、がんの目印をキラーT細胞に
 提示してはじめてキラーT細胞は活性化し、
 その数もふえてがん撃退の準備をする。

②そのキラーT細胞が「がんバリア」を突破し、がんに接触して孔を開ける。

私たちの体内では
①と②のどちらの段階にも障害になっている「がんバリア」を
解消しなければなりませんが、現時点の免疫療法では、
①の段階は成功していても②の段階はまだ成功していません。

いくら免疫力を高めても、すなわちキラーT細胞の活性を高めて数を増やしても、
体内のがんに対して効果が少ないのは、「がんバリア」が存在し、
それを突破できないためだと考えるとすべてのつじつまが合います。

結局がんに勝つか負けるかは、この「がんバリア」をどうやて打ち破るかなのです。

水戸黄門さんであるキラーT細胞にはやはり、
最大の障壁である「がんバリア」を取り除くもの即ち、「葵の御門」が不可欠です。

そして「がんバリア」を打ち砕くことにより完全治癒までも望めるのならば、
「がんバリア」を打ち破るもの、またはその方法をどうしても究明したい。

ここからもご興味のある方は、
拙著「がん克服へ、五つの提言」小学館スクウェアをご覧ください。

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