強皮症、限局性強皮症、限局型全身性強皮症、びまん型全身性強皮症

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強皮症は結合組織の病変で、
血管障害を中心にした炎症性の線維性変化を主とします。

皮膚が硬化する病気は強皮症と呼ばれ
限局性強皮症と全身性強皮症とがありますが、全く異なる病気です。


限局性強皮症は皮膚のみに硬化が起こる病気で、内臓は侵しません。
一方、全身性強皮症は皮膚や内臓が硬くなる変化が特徴です。

全身性強皮症は、「限局型」と「びまん型」、すなわち、
「限局型全身性強皮症」と「びまん型全身性強皮症」とに分けられます。

「限局型全身性強皮症」は軽症型で、進行はほとんどないか、あっても緩徐ですが、
「びまん型全身性強皮症」は、発症から5-6年以内は進行することが多いのです。

全身性強皮症の原因

全身性強皮症では3つの異常が病因と深く関連していると考えられています。
(1)線維芽細胞が活性化
(し、膠原線維が多量に産生され、皮膚や内臓の硬化が生じる)
(2)血管障害(のため、レイノー症状や指尖部の潰瘍などが生じる)
(3)免疫異常(のため、自己抗体が産生される)

進行性全身性硬化症(強皮症)の症状

全身性強皮症はレイノー症状で発症することが多い(80%以上)のですが、
その中には皮膚硬化 がゆっくりとしか進行しない患者さんも多く、
病気に気が付かなかったり、医療機関を受診しても正確に診断されない人も多いです。

レイノー症状
寒冷にさらされると指先の皮膚が蒼白になり、
つぎにチアノーゼ様の紫紅色になります。冷感があり痛むことがあります。

指先の血流量は著しく減少し、指尖動脈撮影では
細動脈の内腔の狭窄や閉塞が認められます。

皮膚症状
皮膚の硬化は浮腫期、硬化期、萎縮期の順で変化が進みます。

浮腫期-手指、手背、顔面の浮腫性腫脹がおこります。

硬化期-皮膚はつまみにくくなり、光沢をもち、色素沈着、毛細血管拡張。

萎縮期-皮膚は萎縮してうすくなり皮下組織も失われます。
顔面の表情は乏しくなり鼻のとがりが目立つようになります。

指趾先端に難治性の潰瘍、壊疽を生じ切断が必要になることもあります。

手背、前腕、上腕、躯幹と体の中心部分に進みます。

「びまん型全身性強皮症」では時に躯幹まで硬化が進行しますが、
「限局型全身性強皮症」では躯幹の硬化はきわめてまれです。
爪のあま皮の黒い出血点、指先の少しへこんだ傷痕、指先や関節背面の潰瘍、
毛細血管拡張、皮膚の石灰沈着、皮膚の色が黒くなったり、
逆に黒くなった皮膚の一部が白くなったりする色素異常などがみられます。

関節・筋症状
小関節の多発性関節痛や、筋痛、筋力低下も認められることもあります。
皮膚硬化による二次的な関節強直や筋萎縮、手指末節骨の融解を生じます。

消化器症状
食道下部が硬くなり、その結果胃酸が食道に逆流して起こる(逆流性食道炎)もので、
症状としては胸焼け、胸のつかえ、逆流感などが生じることもあります。

小腸に病変が及ぶと腹痛、吸収不良症候群(脂肪便、下痢など)を生じます。
大腸の病変は頑固な便秘、腹部膨満感を生じます。

呼吸器症状
肺線維症による乾性の咳嗽と労作時呼吸困難があり、進行すると慢性呼吸不全。

「びまん型全身性強皮症」で比較的多く見られる。

その他、心症状や腎症状があります。
腎症状はときに生命の危険にさらされることがあります。

強皮症腎クリーゼ
腎臓の血管に障害が起こり、
その結果急激な血圧上昇とともに、頭痛、吐き気が生じます。

早期診断により、ACE阻害薬という特効薬による早期治療が可能ですので、
このような症状が起きたときには、直ぐに主治医に相談して下さい。

「びまん型全身性強皮症」では
発症5~6年以内に皮膚硬化の進行や内臓病変が出現してきます。

発症5~6年を過ぎて、皮膚は徐々に柔らかくなってきても
内臓病変は元にはもどりませんから、
発症5~6年以内のできるだけ早期に治療を開始して、
内臓病変の合併や進行をできるだけ抑えることが重要です。

「限局型全身性強皮症」では皮膚硬化の進行はないか、あってもごくゆっくりです。
また、例外を除いて重篤な内臓病変を合併することはありません。
進行性全身性硬化症(強皮症)の検査

血沈の亢進、CRP陽性、血清γ-グロブリンの上昇はほぼ必発です。
約40%の例で抗核抗体が陽性を呈します。

「びまん型全身性強皮症」では
抗トポイソメラーゼ I(Scl-70)抗体や抗RNAポリメラーゼ抗体が検出され、
一方「限局型全身性強皮症」では抗セントロメア抗体が陽性になります。

進行性全身性硬化症(強皮症)の治療

内臓病変の急速に進行する例にはステロイド薬が投与されますが、
皮膚硬化だけの時はステロイドの適応となりません。

皮膚の保温と保護、関節拘縮の予防が大切です。



ここで自己免疫疾患(膠原病)について説明します。

「眼からウロコが落ちる」ほど解かりやすいとよく言われるんですよ。


まず免疫をひとことでいいますと
①自己と非自己を識別する(つまり自分と敵を見分ける)
②非自己(自分でない敵)を記憶してそれを排除する
という2点に集約されます。
こうして私たちの身体を守る働きを免疫といいます。

自己免疫疾患の発生原因は「免疫の狂い」により
①の自己と非自己を識別する(つまり自分と敵を見分ける)能力
の低下から始まります。

自分と敵とを区別できなくなると、
本来はつくられにくい「自己抗体」がつくられてしまう。

「抗体」とは非自己をやっつける攻撃分子です。
ウィルスなどの外敵を処理します。
「自己抗体」とは自己すなわち、自分自身を攻撃する分子です。

自己抗体は自分自身の細胞や組織を外敵と勘違いし、
自分自身の細胞や組織を攻撃し、こわしていきます。

免疫異常

自己と非自己を識別できなくなる

自己を攻撃する「自己抗体」を作る。


あたかも司令官が狂ったために、
本来国や国民を守るための自衛隊が国民を攻撃しているようなものです。

これを自己免疫疾患(膠原病)といいます。

日常のたび重なる食生活や生活習慣の乱れによる身体的ストレスや、
精神的ストレス、女性ホルモン、化学合成医薬品、細菌感染などにより、
自己と非自己(自分と自分以外のもの)との識別能力にくるいが生じる
ことから始まります。




進行性全身性硬化症(強皮症)の漢方薬治療法

強皮症の漢方薬治療法は、
次のような状態に分類して漢方薬を使い分けて対応します。


1.熱証タイプ
2.寒証タイプ
3.皮膚症状
4.レイノー症状
5.関節炎症状

同時に自己免疫疾患のキーワードと言える自己抗体に対応します。

治療目標は次の2点に集約されます。
1.免疫細胞の活性化により自己抗体をへらすこと。
2.免疫力を充実させ自己と非自己の識別能力を回復することにより
自己抗体をつくりにくくすること。

そのためにも免疫細胞と「肝臓免疫」「腸管免疫」を強化します。

免疫細胞と「肝臓免疫」を強化すれば、
身体中をぐるぐる回る「自己抗体」や「免疫複合体」を、
血液中や患部そして肝臓を通過するときにつかまえて分解排除します。

また「自己抗体」の産生を少なくするため
「腸管免疫」を強化することも有意義です。

ダニの糞及び、空気中や食物に含まれる
膨大な数の細菌やウイルスなどは腸管から侵入しますが、
腸管の免疫細胞たちは、毎日その対応に追われるため
酷使され疲労困憊して免疫異常をまねくからです。

私は免疫療法と漢方薬の併用をおすすめしています。

治り方として、
限局性強皮症の場合は話はかんたんですが
全身性強皮症の場合は、身体の上のほうからだんだん良くなって
手が一番最後まで残ります。

漢方薬を飲んでいると腹皮から順番に軟らかくなって治っていきます。
結局、四肢が遅く、特に手が一番あとになります。

私は、漢方薬はエキス剤ではなく煎じ薬をおすすめしています。
煎じ薬は、
ラーメンをつくる手鍋などにコップ3杯の水を入れ
ティーパック(煎じ薬1日分)を入れ
沸騰10分で出来上がりです。簡単ですよ。
1日分を2回か3回に分けて飲みます。


詳しくはお問合せフォームからご質問下さい。




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