漢方誠芳園薬局の漢方の特長

漢方誠芳園薬局 新井吉秀(薬剤師)

当店の漢方は、一般の漢方とは異なる特長があります。
その特長とは、西洋医学と東洋医学の融合。
すなわち長所のいいところ取りです。


西洋医学と漢方医学とは、組織全体から見ると仲が悪く
お互いの短所をクローズアップし合っています。
これは日本も中国も同じです。

漢方医学の世界では、西洋医学を勉強すると「未熟者」という変な風潮があり、
西洋医学の世界では、漢方薬を勉強すると「変わり者」のレッテルをはられます。

西洋医学の進歩はめざましく、局所の病態を正確にとらえる診断学としては
東洋医学よりも明らかにすぐれた点が多い。(全体観は漢方医学が優れています)

ところが残念なことに、西洋医学には良い薬が本当に少ない。

慢性疾患の8割に対して、ほとんど対症療法だけであり副作用も非常にこわい。

その点漢方薬には良い薬が多く、
病態を改善できる処方が西洋医学よりも圧倒的に多いのです。


ところが漢方医学は、陰陽や気血水などによって捉える全体観はすばらしいけれど
局所の病態把握は江戸時代(チョンマゲ時代)から進歩していない。
その原因は、四診(望診、聞診、切診、問診)だけで病態のすべてを
診断できると思ってしまっている点にあります。


日本漢方も中医学も、局所の病態把握が弱いので、
どうしても効果の確率は下がってしまう。

日本漢方も中医学も、西洋医学の良いところを採用すべきだし、
西洋医学も、漢方の全体観、気・血・水・寒を採用すべきです。

情報は主観的・定性的であるほど正確性が失われてしまう。

客観的・定量的なものほど病態を明確に把握でき、対応し易く、対策が立てやすい。

したがって病態は、西洋医学的病名・病態の把握を第一とし、画像診断も生化学検査も

利用する。その上で漢方医学の気・血・水・寒などの実態に則した病態認識を

取り入れると、病態はさらに亜分類され明確になる。

病態把握の精度がより正確になるため、再現性のある治療結果を導けるようになる。


相手のことをボンヤリしかわからないよりは、出来るだけ正確に把握する方が
正確に対応できる、というのは当たり前のことですね。

この当たり前のことが、よーく見つめると、
日本漢方も中医学も、そして西洋医学も実際にはできていない。


病気をより良く治すのが良い医学です。そのためには
西も東も、古いも新しいも、そして既成の組織なども重要なことではありません。


そこで、20年前から私は西洋医学の正確な病態生理と、漢方の全体観を融合する。
そしてその病態を漢方薬で改善していく。そして良くなる確率が高くなっています。

この点が、一般の漢方との大きく異なる当店の漢方の特長です。

西洋医学と東洋医学の短所を省き長所を生かし融合する。
以上はすべて、故 山本巌先生の医学ですが、これを私共は第三医学と呼びます。

どちらかの医学に固執している人は別として、誰が考えても合理的なこの医学は
西洋医学のエビデンスにも通用する程、有効率の高い医学なのです。



  ●誠芳園の由来
  ●だだっこ
  ●恩師
  ●散文集「心の温度」
  ●信号

電話: 06-6480-8525

〒545-0014 大阪市阿倍野区西田辺町1-12-14

受付時間: AM10:00〜PM7:00(水曜・土曜は夜6時)※木曜・日曜・祝日休み
予約制となります(初診は12時から)

漢方薬のお薬代 1日分(税込)

〇エキス顆粒 650円
〇 煎じ薬  650円

小児6才以下
〇エキス顆粒 450~600円
〇 煎じ薬  450~600円 税込みです。
(なお、錠剤漢方程度のエキス量に減らしますと30~40%引きほどになります)

オープン記念!花満開! かしましい? 誠芳園外観です。 本なども置いてます。
ここは待合室です。 楽剤師の新井です。 いらっしゃいませ~♪ こんにちは!
お薬配合中! ここは調剤室です。

誠芳園の由来

漢方誠芳園薬局の「芳園」というのは、
満開に咲く花の香かぐわしい名庭園のことです。
人の一生を花にたとえることもありますが、
それぞれの花一輪に赤誠を尽くしたいと思い薬局名としました。

一隅を照らす灯火や心を癒す名庭園のように、身体だけではなく
心豊かに生きるために
少しでも役に立つことができればと願っています。

人の命より大切なものは、その命を生きる精神であると考えるからです。

だだっこ

私は小さな薬局にて、
様々なお悩みのお世話をさせていただいて二十五年になります。

自分には小さな力しかなくとも、
目の前の人にとってなにが最善かを常に考えてきました。

なんといっても
かけがえのない生命の相談にあずかるのですから真剣です。

「この人の病気が治らないのはイヤだ」と、

まるで駄々っ子のような一念で知識と経験を積み重ね、
初志貫徹、臥薪嘗胆・・・
あっという間に二十五年の歳月を刻んでいます。
自然界の一員である私たち人間の口から入るものは、
極力自然のものが良いとの信念を持っています。

自分自身を評価しますとまだまだ未熟で課題も多いのですが、
自然からいただいた自然薬の力のおかげで、
たくさんの人に喜んでいただいています。
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恩師

私が師として仰ぎ、尊敬してやまない故山本巌先生は、
漢方薬を主体として治療する開業医でした。

その温かい人柄と共に病気を「治す」技術はすばらしく、
古今東西を通じても屈指の名医であったと思います。


先生の診療を見学する医師の数はたいへん多く
曜日ごとの入れ替え制になるほどになっていました。意外なことに
先生の素早く的確な胃カメラの検査技術だけを勉強に来る医師もいました。

メディアの紹介などは一切断っていたのですが、一度だけ
NHKの健康番組にも出演されたことがありますので
ご覧になられた方もおられるかと思います。

NHKの健康番組で医師として出演依頼されるのは、
有名大学の教授や錚々たる肩書きの人がほとんどですが、
山本巌先生のように、町の一開業医がNHKに出演依頼されるのは
異例のことだと思います。
それだけ名医としての評判が高かったのでしょう。

大学病院の教授や助教授から、先生のもとに
手に負えない患者さんを紹介されることも度々ありました。


より高度な治療のためには、
ふつうは町の医院から大学病院などに紹介するパターンが多いのですが
山本巌先生のところへは、反対に大学病院から患者さんを何百人も送られていました。

治した患者さんたちは
ほんとうに壮絶な病気の持ち主が多かったようです。

脊髄小脳変性症の3人の人の治験例についても教えていただきました。
スゴイですよ。漢方薬はエキス顆粒ではなくて煎じ薬なのですが、
私もそっくりそのままの処方を使って上手くいっている人がいます。

脊髄小脳変性症では、まず進行を遅らせる。
できれば進行を止めることが第一目標でしょう。
(でも本音は、少しでも好転して欲しいと・・・・)

一方、急性病に対しては、
漢方薬の効果判定を15分から30分後の経過で判定する
ということを日常的に行なっていらっしゃいました。


もちろんすべての病気や症状に対してではないのですが、
私の印象深いものとしては、
アレルギー性鼻炎、花粉症、喘息、各種の出血、カゼ、感染性胃腸炎、
生理痛、いくつかのタイプの腰痛や肩こり、頭痛などです。

その場で患者さんに多目の漢方エキス顆粒を服用してもらい、
20分前後の変化で効果判定するのです。
「20~30分たっても効けへんのは、
それは処方がおおてないか、量が少ないかのどっちかや。」とおっしゃっていました。


「漢方薬は効果が出るまで時間がかかる」というセリフは、
どこか全く異次元の世界なんです。
カルチャーショックを受ける人は多いのではないでしょうか。

もちろんすべての病気に対してではないですよ。
半年も1年もかかる病気もあります。

先生は日本の漢方界では主流派ではありませんでした。

先生の持論は、
「東洋医学の道を歩むのならまず西洋医学を勉強し、西洋医学の長所と短所を
理解した上で漢方医学を研究することが大切だ」ということでした。 

さらに、西洋医学の「病因」「病態生理」を取り入れれば、
治療学としてすぐれた漢方医学は、より正確に効果を発現し、より客観的に評価され、
より多くの人の恵みになるはずだ、ということです。

医学の目的は患者さんを治すことなのだから、
中国漢方の「五味」「五行の相乗相克」であるとか、
日本漢方の中でも不確かな理論は極力排除し、わかりやすくシンプルにする。
(この点が漢方界では主流派ではなかった原因でしょう)
そして、これから漢方を志す若い人達にとって、
誰にでもわかりやすい「漢方医学」を築きたい、という想いが強かったと思います。


先生はちょっとしか寝ませんでした。
ある時知り合いの医師に誘われてヨーロッパを二人で旅行したそうです。
旅行中のある真夜中、誘った医師が目覚めてみると
部屋の片隅の小さなテーブルに、薄明かりをつけて
分厚い数冊の医学書とにらめっこしている山本先生の姿があったそうです。

山本先生は「人間寝てんのは死んでんのと一緒や」と笑っていました。
私は「そんなアホな」とつぶやきながらも
「やっぱり山本先生に追いつくのは無理や」と思ったものでした。

旅行に行くのに数冊の医学書を持っていくのは理解できますが、
やっぱり 人間寝なあきません。

先生は、漢方の名医と言われるようになったころ、突然
大阪市立大学医学部の皮膚科に病態生理などを勉強しにいったそうです。

ちなみに、その大阪市立大学医学部、皮膚科の数人の医師が、
大学では何をやってもよくならない患者さんでも、
山本先生の漢方で治っていくのを目のあたりにして、
山本先生の弟子として漢方の世界に飛び込んだそうです。

大阪市立大学医学部付属病院皮膚科として、
尋常性乾癬やアトピー性皮膚炎の漢方薬治療を始め、
その画期的な成果を医学会に発表した記録も残っています。

その方たちも当時は同じ医学部の同僚の医師から
「変わりものや」とか「変人」扱いされたそうですが、
今ではすばらしい名医になってらっしゃいます。

そうそう、その後 山本先生は、胃カメラの技術を身につけるために、
大阪の成人病センターにも通ったそうです。

1つ1つの生薬の薬能を知り、
それらの生薬の組み合わせによって生まれる効能を知り、
そして漢方処方の方意を知り、
さらに西洋医学の病態生理、病理を知れば「鬼に金棒」ですね。

先生はよく「大病をしたことのない医者には、ろくな医者はおらん」
とおっしゃっていました。

医師は病気を診るだけではなく、患者のこころの状態をも見つめなければならない。
ましてや医療者たる者が患者を治す以外のことを目的にするなどもっての他である。
患者さんの視線からの医療が大切だと教えてくださったのです。

「患者さんが師匠だ」と
山本先生はおっしゃっていました。

さまざまな書物、文献、りっぱな先生よりも
目の前の患者さんを 真摯にみつめることの大切さを教えてくださったのです。


稀代の名医、山本巌先生も77才にて亡くなったのですが、
亡くなるほんの3ヶ月ほど前にも、私達に最後の講義をして下さいました。

残りわずかの生命を振り絞るような講義でした。

今でも鮮明に 一幅の絵画のように目に浮かびます。

いま天国で、この文章を見た山本巌先生は、
あの独特のホコホコしたあったかい笑顔で、微笑んでくれているでしょうか。

いや、きっと天国に持っていった たくさんの医学書と
「にらめっこ」しておられるにちがいない。


合掌。
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その後、山本 巌先生の漢方を勉強したいと、
漢方を志す多くの医師や薬剤師の方々から、
問い合わせがあり、漢方の研究会を、という声もありました。

そこで、山本 巌先生の著書及び、
その関連の書物を紹介したいと思います。

これらの書物を読んでいただくことは
漢方をより良いものにする為にも大変有意義なことだと思います。


●東医雑録(1)
●東医雑録(2)
●東医雑録(3)
山本 巌 著(燎原書店)

●漢方処方の臨床応用(1)
●漢方処方の臨床応用(2)
●漢方処方の臨床応用(3)
伊藤 良、山本 巌、松田 涇、神戸中医学研究会(ジャパンマーケティングサービス)

●病名漢方治療の実際
坂東 正造 著(メディカルユーコン)

●山本巌の臨床漢方
坂東 正造、福冨 稔明 編著(メディカルユーコン)

●山本 巌の漢方療法(増補改訂版)
鶴田 光敏 著(メディカルユーコン)

●漢方123処方 臨床解説 ― 師・山本巌の訓え ―
福冨 稔明 著/山方 勇次 編(メディカルユーコン)

●きちんと治せる漢方を最短コースで学ぶための『山本巌流漢方入門』 基本病態と基本方剤と生薬
新井 吉秀 著(メディカルユーコン)

上記の書物を読んでいただけると分かるかと思いますが、
山本巌の漢方医学は従来の日本漢方や、中国漢方とはずいぶん違っています。

西洋医学の診断学や病態生理を重要視して、
東洋医学の治療学の優れた部分を縦横無尽に発揮されています。

日本漢方の曖昧な部分や、中国医学の好ましくない点を排除し、
患者さんの為の優れた治療医学となり、エビデンスにも通用するほどの有効率も高くなっています。

散文集「心の温度」

夢や理想がいつしか欲望に変わり
目先の数字を価値観にしてしまうことで
人は醜くもなり、苦しくもなる。
そしてその周囲も枯れ果てる。

花が生き生き咲いたあと、必ず土に帰るように
いつもキラキラとした初心に戻っていたい。


やさしさは、甘さや弱さに変わることがある。

やさしさの中に強さが加わると そこにはあったかさが生まれる。

あたたかさに交換条件はいらない。
ただすんなり与えるだけでいい。

人のアラを見る前に、己のハラをみつめ、
心の温度を調整していたい。

時には勇気が必要になることもある。
勇気とは自分の不純物を捨てることだとしても
根拠のない勇気は無謀となりかねない。

かけがえのない生命に対するあたたかいまなざしと
平素からの真剣な研鑽が不可欠になる。

熱心でもある程度まではいけるが
真剣でないと生まれない強さもある。

20センチの幅の道があり、
その道を踏み外さないで歩くとすれば
「熱心」でも歩くことはできる。
しかしこの道の外側が崖になっていて落ちる危険性があると
「真剣」な努力と工夫、そして勇気が必要になる。

朱子学の「先知後行」説以来、
いつしか実践よりも知識が重んじられるようになった頃、
王陽明が「知行合一」説を唱えた。

「知ることは行うことの始めだけど
行うことは知ることの完成である。
知と行を分けて考えてはいけない、同居する。」


たとえ立派な知識があっても、
使わないと何の意味もないし、
経験しないと本当のところはわからない。

そして知と行も原因と結果も、また苦と楽や生と死も
分けて考えてはいけない、同居する。

やはり最終的には患者さんが師であることを
謙虚に見つめて尽くしたい。


その人のすばらしい人生に
ほんの少しでも役立ちたい。

励ましの言葉を心の温度であたためてから伝えたい。

信号

慢性の病気の時には「感謝の気持ち」が大切です。

『自分だけが苦しんでいるのではなく
あなたの奥様(又は御主人)やお子様や家の方々
みんな一緒に病気してるんですよ』

『あーそれだけみんなに同じこんな想いをさせていたんだ』と
気づいた時大きな変化があります。

すべて感謝と、そしてその人のもっている心によって
人生幸せにもなり又病気もよくなります。

誤った考え方を治してくれるのも「病気」です。
いわば注意信号です。

だから注意信号(黄色信号)をよく守って
赤信号にならない様に出来るというのはありがたい事ですよね。




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