きちんと治せる漢方を最短コースで学ぶための
『山本巌流漢方入門』―基本病態と基本方剤と生薬
A5判、184頁、オールカラー 新井 吉秀
メディカルユーコン3,500 円 (税別)
「漢方がこれほどまでに効くとは思わなかった」と言わしめる山本巌流漢方。その山本巌流漢方の「扇の要」が一冊の本になりました。
山本巌流漢方は、事実に合わない理論や装飾は極力省いているため、シンプルで、分かりやすく、即実践に繋がり土台固めが応用力に直結します。単に漢方が分かるとか使えるとかいうレベルではなく、きちんと治せる漢方を身に着けることができます。本書は基本病態ごとに理論を説きつつ、処方と生薬、臨床の解説が一体となって展開され、格好の山本巌流漢方入門書と言えるでしょう。是非この機会に山本巌流漢方の真髄に触れてみませんか?
~山本巌先生は、個々の生薬は単語であり基本方剤は短文であり、
実際の診療は病態に適合する文章を作るようなものだと比喩された。~
何事も基本が大切である。十分な基礎工事にはある程度の時間はかかるが、
頑健な土台を作り上げて初めて高層ビルを建てることができる。
まずは個々の生薬を熟知していきたい。
しかし、百を越える生薬の半数だけでも十分に理解を深めるためには、相当の時間を費やさねばならない。
しかも一つ一つの生薬を丹念に覚えていくのは無味乾燥であり、
記憶としても残りにくい。
そこでこれらを最短距離で自家薬籠中のものにする方法と手順を提案したい。
最初に気、血、水、寒、熱などの病態に対する下記の基本8方剤と構成生薬を
1回に約10分、1日3回を繰り返せば7日程で暗記されると思う。
気虚 …≪四君子湯≫ -人参、白朮、茯苓、甘草
気滞 …≪四逆散≫ -柴胡、枳実、芍薬、甘草
気欝 …≪半夏厚朴湯≫ -半夏、厚朴、生姜、茯苓、紫蘇葉
血虚 …≪四物湯≫ -地黄、当帰、芍薬、川芎
瘀血 …≪桂枝茯苓丸≫ -桂枝、茯苓、牡丹皮、桃仁、芍薬
水湿 …≪四苓散≫ -白朮、茯苓、沢瀉、猪苓
裏寒 …≪人参湯≫ -人参、乾姜、甘草、白朮
実熱 …≪黄連解毒湯≫ -黄連、黄芩、黄柏、山梔子
次にそれぞれの基本方剤の構造と薬能を理解すれば、その病態を理解することになる。
この手順によって基本構造や基本方剤から展開される数々の処方の理解は容易になり、
ご自分のものにできる近道になると考える。
この流れの中でさえ、個々の生薬のいくつもの薬能を覚え込むのは簡単ではないが、
この土台作りの完成のためにも繰り返し読めるコンパクトな本書が役立つことと思う。
「山本巌流漢方」とは、西洋医学と漢方医学との融合、その特長は有効率・治癒率が高いことです。
薬物療法の基本は、病を診断し、正確に病態を把握し、その病態を改善する薬物を投与することです。
これは西洋医学も漢方医学も同じです。
漢方界でいう原始的な望聞問切の四診だけでは、主観的・定性的で正確な病態把握は難しい。
そこで客観的・定量的である西洋医学的病態把握を第一にし、
西洋医学にはない漢方医学の病理観を加えて病態をさらに亜分類し、より明確にする。
そして処方の構成生薬の効能を熟知することが有効率・治癒率を高めることに直結する。
本書の8つの基本病態と基本方剤と個々の生薬の効能を頭に入れ、
その目を通して患者を見つめることにより臨床力は一段と深まる。
本書は様々な漢方の流派の人にも、ベテランの人にも、漢方に関心のない医師・薬剤師にも広くすすめたい。