朝起きるのが苦手で、午前中はぼーっとする、立ちくらみ。それは実は体質が原因かもしれない。
私も「フクローさんタイプ」でした。学生時代、朝はサッとは起きられなくて、
中学校時代から遅刻しない様に、よく学校まで走っていました。
朝起きてすぐは何も食べられなくて、午前中はボーとしていて、
午後から調子が出て元気に運動場で遊ぶ。大学では徹夜で勉強し、
そのまま寝ずに午前中のテストを受けに行くこともありました。
◇
世の中には体質として、一日中、元気に活動できる「ヒバリ型」と、
朝の活動は苦手で午後から調子が上がる「フクロウ型」がそれぞれ20%前後いるようです。
●ヒバリ型は丈夫で元気だが、中年以降に注意
ヒバリ型の人は、早起きで夜の寝付きもいい。骨格や呼吸器、循環器、胃腸が丈夫で、
めったに病気にかからず、食欲も旺盛。体の無理が利くため、暴飲暴食を重ねがちで、
丈夫なだけに無理をかさねがちなのが欠点にもなりますね。
中高年になって高血圧や糖尿病などの生活習慣病に悩む傾向があり、
後半生は動脈硬化性疾患、心臓病や脳血管障害で倒れる人が多くなるようです。
●フクロー型はスロースターターだが、長生き
それとは反対に、フクロー型では、
朝は苦手で、いつまでも寝ていたい。日曜、休日は昼近くまで寝ている人もいる。
パッと起きられず、目覚めが悪い。目覚まし時計が鳴っても無意識に止めて
「今朝は目覚ましが鳴らなかった」という者もいる。
いつも学校や会社に遅刻しがち。それでもやっとのことで起きても、
朝は起きてすぐ食欲がなく食べたくない、午前中は体も頭もエンジンかかからず、
頭はぼーとして、勉強も仕事もはかどらない。ミスも多い。
夏は朝礼で脳貧血を起こして倒れる。
周囲に怠け者と思われ、慢性的なめまいや立ちくらみ、頭痛、肩こりなどに悩みやすい。
しかし、午後からだんだん食欲も元気もではじめ、夕方からは最高調となります。
食欲がでてきて、夕食はなんでもおいしく、またたくさん食べられる。
要するに、スロースターターですね。しかし、夜早く寝ようと思っても、頭がさえて眠られない。
●フクロー型の体質、症状と対策
冷え性で、寒がりですが、夏より冬のほうが元気で過ごしやすく、夏の暑さにはとくに弱い。
暖かい所にいると気分が悪くなりやすく、のぼせやすく、長風呂ができません。
また、急に立ち上がるときにめまい《立ちくらみ》を起こしやすく、
脳貧血をおこして倒れるのもフクロー型に多い。頭重感や、慢性頭痛と肩こりもある。
血圧は低目で、起立性調節障害、起立性低血圧などといわれ、息切れ、動悸を起こしやすく、
慢性疲労症候群・不眠症・うつ病・神経症などの診断を受けている人もいます。
フクロー型の人に見られる諸症状は、ごく軽度のものから重症なものまでさまざまです。
ただし、40歳をすぎると体調不良の訴えが減り、60歳以降は元気で長生きするようです。
◇
●子供の不登校
小中学生、高等生の不登校は数十万人と報告されています。
不登校の子供の訴えは、頭痛・腹痛・午前中の抑うつ気分・無気力や食欲低下
・睡眠障害(不眠、夜更かし、朝が起きづらい)・立ちくらみなど多彩ですが、
夜には元気になりゲームや好きなことはできるといった特徴的な状態を示すことが多い。
朝起きにくい。起きても頭がすっきりしない。体がだるい。朝は食欲がない。
学校の授業も頭がボーとしているから能率が悪い。
事務員など午前中はよくミスを起こしてこまる。
午後三時ごろになると、大抵体の調子がよくなる。
起立性調節障害という視点でみると、不登校の約4割が起立性調節障害を伴い、
また起立性調節障害の約半数に不登校を伴っている報告がされています。
起立性調節障害は、「自律神経系による心臓・血管の循環調節機構の不全による機能性身体疾患」
であるといわれています。自律神経の調節がうまく行かず低血圧症状を主として、
立ちくらみや・朝起ができない、疲れやすいなどの症状が出てくる状態のことを言っています。
漢方医学では、「フクロー型体質」の症状の一つとして起立性調節障害を生じることが多く、
病気というより体質の問題であると考えています。
●めまい・立ちくらみ
多く訴えられる症状の一つにめまいがある。急に立ち上がるとき眼の前が急に暗くなる。
立っているときや歩行中にクラッとなることもある。同時に耳が聞こえなくなる。
耳鳴りを感じることもあり、気が遠くなる。ひどい時には意識もなくなり失神する。
これは即ち脳貧血であって、脳の血行がわるくなるためです。
急に脳に血を送るため心悸亢進をおこしてドキドキする。
また皮膚の血管を収縮させて血圧をあげるため、皮膚ことに顔色が蒼白になる。
頭部顔面から大粒の冷や汗がでる。
あつい風呂、長湯、暖房の効きすぎは皮膚血管を拡張させるために悪いのではと思われる。
●頭痛と肩こり
フクロー型体質には特有の頭痛と肩こりがある。その特徴は、横になると楽になる。
頭痛、頭重は主として後頭部が中心で、肩こりは項部が特によく凝るという。
痛みは、鈍痛、重い感じです。同時に重い者はシビレ感があり後頭部が主ですが、
頚から肩や腕にかけてシビレ感を訴えることもある。
凝りは、他覚的より自覚的な凝りが強い。按摩なども少しも良くならない。
●ヒバリ型とフクロー型の生き方、養生
フクローはヒバリになれないし、ヒバリはフクローになれない。
一般に、ヒバリ型では若いときは順調でよいですが、中年以降は大病にかかりやすい。
ヒバリ型の人では、自分の体力を過信しないで飽食を反省し、減食に努めたい。
フクロー型はスロースターターで、若いころはつらくとも、年をとってからは元気です。
西洋医学の検査では「異常なし」と診断され、原因不明のまま不調に悩み続ける人も多い。
そして、このフクロー型体質にたいして漢方では有効な体質改善の方剤があります。
フクロウ型であれば、「苓桂朮甘湯」をよく使いますが、
必ず個人の体質に合うもう一つの処方を合わせておつくりします。
夜更かしをしないなど生活習慣の改善や適度の運動やストレッチもおすすめです。
症状改善には、早い人は数日で効果が出るが、2~8週間ほどで少しずつ効いてくる人も多い。
詳しくはお問合せフォームからご質問下さい。