過敏性腸症候群
過敏性腸症候群には、
便秘型、下痢型、下痢便秘交代型、ガス型があり、腹痛を伴うこともある。
腸の運動異常であり、気滞であります。
ことに下痢型、ガス型で症状がひどいと日常生活に支障があります。
中でも女子中学・高校生では授業中も我慢できないため退学を余儀なくされ、
通信制学校にしたり受験も断念したりするなど深刻な人も見受けられる。
拙著、きちんと治せる漢方を最短コースで学ぶための『山本巌流漢方入門』
に記述した治験例から抜粋します。
過敏性腸症候群の下痢型とガス型(17歳女性、専門学校生)
中学受験をし、有名私立中学に入学したが、通学は1時間かけて電車を一度乗り換える。
この頃から下痢・ガス張りの症状が始まり、
数件の病院治療も効なくむしろ症状は激しくなり、
授業中も下痢やガスで我慢の限界を越えるため通学はできなくなった。
勉強は好きで、今は通信制の専門学校生である。
各駅のどのあたりのトイレがキレイかはすべて知っている。
下痢は1日4~6回。
漢方薬も今まで五苓散や半夏瀉心湯、真武湯、平胃散、啓脾湯、参苓白朮散などを試したが
少しは良い程度だったという。
飛び散るような、ヒリつくような炎症性下痢やヒステリー型には
甘草瀉心湯(エキスでは半夏瀉心湯に甘麦大棗湯を加える)などでよいが、
過敏性腸症候群は主に腸の異常運動であり気滞である。
多くは桂枝加芍薬湯をベースに、ストレスやイライラなどがあると四逆散を加える。
冷えが強いと人参湯や大建中湯を加える。
ガス型は大建中湯を加える。
足やお腹の冷えが強く、桂枝加芍薬湯合大建中湯とした。
2~3日で効果を感じ、お腹が温かくて気持ちいいという。
念のため3ヶ月服用し「もう完全に治ったみたいです」と満面の笑顔だった。
※この様なケースは案外多いのです。
過敏性腸症候群の原因
感情の興奮など、精神的ストレス(または無意識下の過敏反応)
や腸の冷えによっておこる大腸の機能のさまざまな異常反応をいいます。
過敏性腸症候群の症状
●便秘型
S字状結腸のケイレンが原因で、
排便は一回量が少なく、細かく切れて出て硬い。
水分の少ないときはコロコロ便になる。
あとに残便感があり、排便前後に腹痛や膨満感がある。
痛みは左下腹部に多い、
ときに痛む場所が移動する、夜間に症状は少なく食後に多い。
痛みはケイレン性で波がある。
●便秘下痢交替型
1. イライラ、不安、緊張の多い人
2. 冷えて腹痛、腹部膨満感の強い人
3. 便の量が少なく硬い人
4. 冷えて軟便、泥状便の人
●下痢型
1. 神経性下痢型
このタイプは腹痛はあっても軽く、腹鳴があって水様性の下痢をする。
下痢は、1日1回の人もあれば1日10回もいく人があり、
回数の少ない人は初めは形のある便で、あとは軟便。
回数の多い人は水様便。
2. 腹痛して下痢の型
●粘液排出型、ガス型
精神的ストレスのために飲み込んだ多量の空気が立位のときに
大腸で一番高い脾彎曲という場所に溜まり、
そのガスのためにお腹が張って左の胸や脇腹が痛む病気です。
ガスが出ると痛みや膨満感は少なくなる。
漢方では上記のように類別して漢方処方を決定します。
外部からのすこしの刺激にも強い反応を引き起こし、
そのため胃潰瘍や過敏性大腸症候群、
胆道ジスキネジー、胆石症の発作を起こして、
腹痛、嘔吐、胆汁の吐出、腹痛、背痛、または
頻尿、頻便、残尿感、残便感、無月経、生理不順などを起こすこともあります。
過敏性腸症候群の漢方薬治療
現在でも、漢方薬は合方してはいけないと言う人がいますが、
特に慢性病の場合は原因が一つでないことが多いのですから
良くなるために、むしろ多くのケースで合方しています。
◇桂枝加芍薬湯
◇桂枝加芍薬大黄湯
◇加味逍遥散
◇四逆散
◇大建中湯
◇小建中湯
◇人参湯
◇真武湯
◇甘草瀉心湯
◇五積散
◇香蘇散
◇柴胡桂枝湯など
まずは1ヶ月飲んでみてはいかがですか。
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