腰痛・ヘルニア

腰痛・ヘルニアの治療、予防、症状、原因と
その対策、漢方の治しかたについて述べます。


腰痛といっても腰部の鈍痛、放散痛、電撃痛、
腰を動かした時の痛みや安静時の痛みなどさまざまです。

また腰椎やその周辺になんらかの異常が発生して、
神経が刺激されて生じる臀部痛、大腿部痛、下肢痛をともなうこともあります。


腰痛が起こる背景

4本足で歩く動物に比べて、ヒトは2本足で歩くために腰痛を起こしやすい。
立つことにより重い上体を支えるため、脊椎とくに腰椎に大きな負担がかかる。

腰椎は重い頭や身体を支えて、
4本足時代の腰椎部の後方凸のカーブ(腰椎後弯)がなくなり、頸部は前方へ、
胸部は後方へ、腰部は前方への弯曲(腰椎前弯)になりました。

腰部に加わる力は、寝ている状態では約20キロ、起立姿勢では100キロ、
腰を曲げて20キロの物を持ち上げると約225キロといわれます。

腰は、いろんな方向に運動できる腰椎と、固定された骨盤との間にあるため、
不自然な姿勢や動作をすると損傷を受けやすくなっています。
そこで腰痛をおこさないためには、正しい姿勢を保つことが必要になるわけです。


腰と背骨、神経の関係

背骨(=背柱)は、短い骨(=椎)が並んでいて
各椎の間には椎間板と呼ばれるクッションがあります。

脊柱は、身体を横からみるとS字状に弯曲していて、
これを前の腹筋と後ろの腰背筋と靭帯で支えています。

身体を支持する脊椎は、上から首に始まる7個の頚椎、12個の胸椎、5個の腰椎、
その下に骨盤と連結する5個の仙椎、さらに3~5個の尾骨でできている。

背骨の回りの筋肉が骨を支え、その筋肉の運動により体を曲げ伸ばしできる。
特に、腰付近の背骨からは、下半身の神経が多く集中している。

腰痛は腰椎のほかに椎間板、神経、靭帯、筋肉のいずれに故障によっても発生し、
特に5個の腰椎のうち、下の二つに大きな力がかかり、痛みを発生することが多い。

腰痛の三大原因は骨格の歪み、筋力の低下、血行不良または冷えです。


骨格の歪み

例えば前屈みの姿勢を長時間続けたり、
重い荷物をいつも片側の肩にかけていると骨格が歪み、腰痛になってしまう。

また、お腹を突き出した姿勢(体型)や猫背も腰痛の要因に。
悪い姿勢を続けると、椎間板や椎間関節、そして靭帯や筋肉に大きな負担をかけます。

まずはご自分の姿勢を見直してみましょう。
1時間おきくらいに立ち上がって腰を伸ばすだけでも違ってくるはずです。
ストレッチをして平素、伸ばさない筋肉を伸ばすのもおすすめです。


筋力の低下

日頃の運動不足から筋力が低下しても腰痛になります。
特に腹筋が弱くなると背筋に引っ張られ背中が反り、腰痛になりやすい。

筋力が低下すると、筋肉が疲労してだるくなったり
腰椎に負担をかけて、いずれ骨格(すなわち腰椎)にも負担がかかってきます。

また筋肉を使いすぎると
筋肉組織内にブラジキニンという発痛物質を作り出し、腰痛を引き起こす。

重い物を積み下ろす仕事、中腰での仕事などは腰痛持ちの人が多く、
同じ姿勢を続ける(車の運転など)仕事や家事作業、育児も要因になります。


血行不良

血液の流れが悪くなるのも腰痛の原因に なります。
血液の循環が悪ければ、体に凝り、筋力の低下を生じ、冷えも重なります。

血液の流れが悪いと
血管の回りに発痛物質のブラジキニンなどを発生させる。

一度腰痛になると慢性化しやすく、徐々に悪くなる場合もあるため
早めにケアをし、悪化させないことが肝心です。

「腰痛の原因が背骨にあるもの」
椎間板ヘルニア 腰部脊柱管狭窄症 変形性脊椎症 骨粗鬆症など

「腰痛の原因が内臓の病気にあるもの」
腎臓結石 尿管結石 大動脈瘤 婦人科の病気 悪性腫瘍など


腰痛症(筋膜性腰痛症)(ぎっくり腰も含む)

『症状』 安静にしていれば痛みは治まるものの、再発しやすく、
あらゆる検査をしても異常が見られない腰の痛み。
中腰でものを持ち上げたり急に立ち上がろうとした時に激痛が走る。
前にかがんだだり長く座っていると時に痛む。
重く張ったようなだるいような痛みが続き、慢性化する場合も。

『原因』 長時間同じ姿勢、無理な姿勢、急激な負荷や筋肉疲労、
運動不足、肥満、全身の疲れ、血行不良、身体の冷えもあげられる。
椎間板ヘルニアや変形性脊椎症に移行することもあるので要注意 。


腰椎椎間板ヘルニア

『症状』 腰から足先にかけてしびれや痛み、筋力の低下など。
せきやくしゃみでも激痛がおこる。
脊髄神経(神経根)を圧迫するため、排尿ができなくなることも。
腰を曲げないと立っていられないほどの腰痛と下肢の痛みがある
前傾姿勢・イスに腰掛けるの辛く、横になっているのが楽。

『原因』 加齢によるもの、背骨に予想以上の力がかかった事が考えられます
椎間板は骨と骨の間にありクッションの役割をしていますが
その中にある髄核(椎間板の中心部にある)が弾力性を失い、
髄核が繊維輪を破って飛び出し神経を圧迫した結果起こるものです

若い人はスポーツなど外部からの圧迫によって起こり、
中高年では椎間板の老化によって起こりやすい


脊椎分離症・腰椎分離症

『症状』 腰痛症のような痛み、ときに下肢の痛みやしびれも。
同じ姿勢を長くしていると、腰が痛くなる、
背中を後ろに反らせる、腰掛ける、立つ、歩くなど
同じ動作を続けるのが辛い。激しい運動中に急に腰が抜けるなど。

『原因』 腰椎の後方部分(椎弓)が切れた(骨折)結果、脊柱が不安定になる
激しい腰のひねりや強い前屈、背屈が原因になる事が多い
激しい運動をする若いスポーツマンに多く見られる。
また骨折までいかなくても、
若年時代の過激な運動で痛めた腰痛は成長しても残ることが多い。


脊椎すべり症(腰椎すべり症)

『症状』 腰痛症のような痛み、ときに下肢の痛みやしびれもあります。

『原因』 一つの椎骨が腹側へ移動した状態
ただ、分離していても腰痛を起こすとは限らない。
分離した部分で、腰椎のずれの程度が大きいと神経を締めつけるため、
しびれや痛み、歩行障害を招くこともある。
脊椎分離や椎間板の老化などによって起こる。


坐骨神経痛 (根性腰痛症)

『症状』 お尻や足への放散痛
『原因』 脊髄や神経根の圧迫によっておこる。
多くは腰椎椎間板ヘルニアが原因


変形性脊椎症(変形性腰椎症)椎間板症

『症状』 腰部に鈍痛とこわばりが感じられる 。立つ時や、寝返り時に強く出る。
動き始めに痛み、動いていると痛みが少し楽になる
「骨棘」と呼ばれる出っ張りがレントゲン写真で観察される。

『原因』 椎間板・関節・靱帯の老化。

加齢による椎間板老化や水分減少により、弾力性がなくなる(椎間板症)と、
脊椎骨の縁の部分が変形(変形性脊椎症)してくる、
椎体間の隙間が狭くなると脊柱が不安定になり、
周囲の神経や神経根が刺激される。
椎骨は出っ張り(骨棘)を生じて、神経を刺激することもある。

骨が変形しても、必ず痛むわけではなく、
周りの靭帯や関節や椎間板が疲労した場合に腰痛を起こす


脊椎管狭窄症(腰部脊柱管狭窄症)

『症状』 長時間歩いていると腰から足の裏にかけて痛みやしびれが広がり、
歩けなくなることもある

『原因』 腰椎の骨の中に脊柱管とよばれる、神経を保護する通り道があり、
これが狭くなって脊髄や神経根、血管が圧迫されて痛みが起こるもの。
先天的なものと脊椎すべり症、変形性脊椎症などが原因となる。


骨粗鬆症によるもの(脊椎圧迫骨折)

『症状』 背中や腰部が痛む。
骨粗鬆症による腰痛は治りにくく、
脊柱の圧迫骨折が重なると背が低くなったり丸くなったりします。

『原因』 加齢とともに骨量(骨の量)が減り、
骨が軽石のようにスカスカになった状態のことを骨粗鬆症と言います
骨がもろくなっているため、小さな負担(尻もちを付く)だけでも
骨折(圧迫骨折)することがあります。


腰痛症の漢方薬治療

冷えがあり、水太りで腰が重い感じのする人
冷えにさらされたあとの腰痛
坐骨神経痛 、筋肉痛
ぎっくり腰、腰椎間板ヘルニア
慢性化し難治性でお血によるもの
坐骨神経痛、筋肉痛
老化現象によるもの
産後などによって類別します。

◇疎経活血湯
◇五積散
◇苓姜朮甘湯
◇当帰四逆加呉茱萸生姜湯
◇芍薬甘草湯
◇桃核承気湯
◇四物湯
◇桂枝茯苓丸
◇十全大補湯
◇八味丸など

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