バセドウ病(甲状腺機能亢進症)    誠芳園の漢方の特長 ←クリック

バセドウ病(バセドウ病は英語圏ではグレーブス病Graves' diseaseと呼ばれる)
バセドウ病の原因、症状、治療法、妊娠、出産、免疫、目について述べます。

バセドウ病は治ります。        一般の漢方との違い⇒誠芳園の漢方の特長
『バセドウ病が治る』と言うことは、FT3・FT4・TSHの安定だけではなく
自己抗体のTSHレセプター抗体(TRAb)が正常化し安定することです。

西洋医学ではメルカゾール(またはチウラジール、プロパジール)を服用して
2年経っても正常化しないと手術又はアイソトープをすすめられます。
そんなケースでも、漢方と免疫、そして生活養生をすれば
自己抗体も下がってきますので、バセドウ病の完全治癒を目指します。

基本的には病院のお薬と併用をおすすめしています。
     現時点(令和6年1月)では
     200人以上の
甲状腺疾患の人のお世話をさせて頂いています。
     とくに、「もうアイソトープか手術しかない」と言われて来る人や、
     甲状腺眼症で困っている人が多いです。


バセドウ病の症状の改善は早いですよ。(目の症状は少し時間がかかります)
早い人は2~3日、半数以上の人は1ヶ月で効果は見えています。
(甲状腺眼症はもう少し時間がかかります)
皆さん、『漢方の効き目って早いんだなぁ』って驚きはります。

メルカゾールなどの副作用で肝機能が悪くなったり、顆粒球が減少してしまう人も、
アイソトープで焼くか手術しかない!と言われますが、
そのような人でも漢方薬と免疫の錠剤によって、肝臓も一緒に良くなります。

  Q&A バセドウ病
  
Q&A  バセドウ病と妊娠、出産、遺伝について
        バセドウ病と妊娠について、Q&A方式で説明します。
  
(参考のため)
   2011年から8年ぶりに改訂されたバセドウ病治療ガイドライン2019では
   メルカゾールの服用量について、重症と考えられるFT4が5ng/dL以上では、
   メルカゾールの副作用が少なくするため、メルカゾール6錠/日にするよりも
   メルカゾール3錠/日とヨウ素カリウム丸1錠の併用が勧められています。

 
甲状腺について
 甲状腺は 体の新陳代謝を促す甲状腺ホルモンを2種類合成し
 3個のヨードを含むT3(トリヨードサイロニン)と、
 4個のヨード含むT4(サイロキシン)を血中に分泌します。
 そして脳下垂体からでる甲状腺刺激ホルモン(TSH)により調整されます。

 FT3・FT4・TSHは血液検査によってわかりますから
 バセドウ病の進行または治療による改善をみるためにも大切です。
 しかし、バセドウ病では自己抗体を見つめていくことはもっと大切です。

甲状腺ホルモンの働き
 甲状腺ホルモンは発育や成長に欠かせないホルモンです。
 全身(脳、心臓、消化器、筋肉、皮膚、など)の新陳代謝を活発にし、
 精神神経や身体の活動の調整にも働きます。

バセドウ病の原因
 甲状腺機能亢進、甲状腺眼症の悪化の原因として頑張りすぎ、ストレス、夜更かしが挙げられます。
 受験勉強、転職、結婚、離婚、家族の病気、職場環境などによるものです。
 頑張りすぎない、夜更かししない、ご機嫌さんにゆったり時間を多くする生活が大切です。
 甲状腺機能亢進症の代表的な病気がバセドウ病であり、
自己免疫疾患のひとつです。

 免疫のくるいにより、自分の甲状腺の表面にあるTSHレセプターを異物と勘違いして、
 自己抗体(TSHレセプター抗体=TRAb)をつくってしまいます。

 このTRAb が甲状腺のTSHレセプターにくっついて甲状腺を刺激するために、
 甲状腺ホルモンを過剰につくり続けるバセドウ病になります。
 この自己抗体も血液検査でわかります。
 バセドウ病が完治するには、この自己抗体が正常値になることが必要です。

バセドウ病の症状
 バセドウ病の症状としては、大量に産生された甲状腺ホルモンが、
 血液中に多く流れ全身の新陳代謝が活発になっている為に様々な症状が現れます。
 
標準的な血液検査には甲状腺の検査項目は含まれないために、
 甲状腺疾患は案外見逃されやすいものです。ですので
 下記のような症状がいくつかあれば甲状腺のチェックも申し出てください。


全身症状--------暑がり、疲れやすい、だるい、体重減少まれに体重増加
体温------------37.5℃前後の 微熱
顔つき・首-------目つきがきつい、眼球突出(3割程度)、複視、甲状腺腫大
神経・精神症状---イライラ感、落ち着かない、集中力低下、不眠
循環器症状------動悸、頻脈、心房細動、心不全、むくみ、息切れ
消化器症状------食欲亢進または低下、口渇、軟便、排便回数増加
皮膚------------発汗、脱毛、かゆみ、皮膚が黒くなる
筋骨症状--------脱力感、筋力低下、骨粗鬆症、手足のふるえ
周期性四肢麻痺
月経------------月経不順、無月経、不妊
血液値----------コレステロール低下、血糖上昇、血圧上昇、肝障害

バセドウ病眼症(甲状腺眼症)について
 甲状腺ホルモンの数値が安定すれば眼症は治ると勘違いされている場合があります。
 「眼症なのだからあきらめなさい。」と言われ、治らないと思い込んだ方も多い。
 でも、決してあきらめることなどないのです。誠芳園の漢方をおすすめします。

 甲状腺に関係した抗体が眼球の周りにある脂肪や眼球を動かす筋肉の中に存在し、
 それが標的となって炎症が起こります。
 炎症が起こると目の周りの脂肪や筋肉が腫れ、様々な症状が起きます。

 眼症状(目の症状)は必ずしも甲状腺機能と比例しません。
 甲状腺ホルモンを下げる薬や甲状腺の手術だけでは眼症状は良くならず、
 また甲状腺機能が正常になった後に眼症状が出る場合もあります。
 明らかな甲状腺機能亢進症がなく眼症状だけがみられるバセドウ病さえあります。

バセドウ病眼症の症状
 眼球表面は角膜、結膜、眼瞼(まぶた)で被われて眼瞼をつり上げる筋肉(眼瞼挙筋)があり
 眼球の後ろには脂肪組織、眼球を動かすための外眼筋、視神経があります。
 ここに炎症を起こし、まぶたの腫れ、まぶたがつりあがる、眼球突出、目の痛み、
 物が二重に見える、まぶしい、視神経が圧迫されることによって視力低下、物がゆがんで見える、
 視野全体に色が付いて見える、などの目の症状が見られます。

バセドウ病眼症の検査
 視力、眼圧、眼球突出度の測定、眼球の動きを調べる検査の他、CTやMRIという断層撮影で
 眼球の後ろの状態を調べます。CTでは外眼筋の腫れ具合や眼球突出度をみます。
 MRIでは外眼筋の腫れや、外眼筋の炎症が新しく活動性かどうか
をみます。
 血液検査では自己抗体のTRABしか見ない病院も多いのですが
 TSABはチェックしてもらって下さい


バセドウ病眼症の病院での治療

 まずは血液中の甲状腺ホルモン値を正常化させることが必要です。

 バセドウ病眼症で炎症が強ければステロイドパルス療法を行います。
 目の裏の炎症を急激に鎮めた後、放射線をあてて炎症が再発しないように
 設備の整った放射線科に10回は通院する必要があります。
 その後、3ケ月間にわたって少量のステロイドホルモン剤を内服します。
 副腎皮質ステロイドや放射線治療は、あくまでも活動性のピークを軽減し、
 眼球突出などの後遺症を軽減することが目的です。

 甲状腺眼症のステロイド全身投与は、視神経障害、外眼筋腫大に有効ですが、
 斜視には一部有効、眼球突出にはあまり効果がない。
 外眼筋の炎症がすでに鎮まっている場合にはこのような治療は無効です。

バセドウ病眼症の漢方治療
 バセドウ眼症は、甲状腺眼症専門病院でも難しく
 日本漢方や中医学でも症例がほとんどないために何年も何年も工夫しました。
 そしてようやく4年ほど前から、ずいぶん改善するようになってきました。
 ただし、エキス漢方では難しく、必ず煎じ薬にして頂いています。

 それからは、煎じ薬で良くなってきている人が増えています。
 バセドウ病眼症が、2~3ヶ月で明らかに改善した人もいますが、
 6ヶ月かかってやっと効果が見えてくる人もいます。
 固定化された経過の長い場合や炎症が強い場合は
 時間がかかるように思います。初期の段階には改善も早いと思います。
 症状だけではなく、TSAbも下がり正常値になった人が増えてきています。

 甲状腺眼症の重症化、悪化は喫煙本数に比例します。
 甲状腺機能異常と診断された方は、将来の甲状腺眼症の発症を考慮し、
 必ず禁煙をしなくてはいけません。
 頑張りすぎ、ストレス、夜更かしにも注意して下さい。


バセドウ病と妊娠・出産・授乳

 バセドウ病があると妊娠、出産、授乳に対して不安をもたれる女性が多いのですが、
 産科医に知らせておけば大丈夫です。抗甲状腺剤が必要な場合には、
 抗甲状腺剤をのまないよりも、のむ方が母子ともに安全です。安心しておのみ下さい。

バセドウ病の病院での治療法
 病気の程度やライフスタイルによって選択は異なりますが
 バセドウ病の治療としては、まずは甲状腺ホルモンをコントロールすることです。
 抗甲状腺剤の内服、
 MMI(メルカゾール)、PTU(チウラジールかプロパジール)の2種類
 手術(甲状腺亜全摘術)、
 アイソトープ治療(放射線ヨード内服)
の3つの治療法があります。

 甲状腺やバセドウ病について、すこし調べるだけで
 以上のことはすぐにわかるかと思います。
 でも皆さんはここで、はてな?と思いませんか。
 バセドウ病は自己免疫疾患である
 でも治療は甲状腺ホルモンをコントロールすることである。という点についてです。
 (コントロールするだけで完治する人もあるので、それはそれでいいのはもちろんですが。)

自己免疫疾患の治療の本筋は
 免疫のくるいを正すことと、
 免疫のくるいによってつくられすぎた自己抗体を処理することが大切です。
 甲状腺ホルモンをコントロールすることも、もちろん大切ですが、
 自己抗体をへらし、免疫のくるいを更正することはもっと重要です。

バセドウ病の漢方治療
 漢方誠芳園薬局では、FT3・FT4・TSHの改善だけではなく
 根本治療として自己抗体の正常化を目指します。
 自己抗体を正常化することが、バセドウ病の完全治癒につながるからです。

 まずは2~3ヶ月漢方薬を飲んでみて、バセドウ病の改善、すなわち
 FT3・FT4・TSHや自己抗体の変化を見てはいかがですか。

 漢方誠芳園薬局ではバセドウ病の症状の改善は早いですよ。
 早い人で3日以内、半数以上の人は1月で効果は見えています。
 皆さん、『漢方の効き目って早いんだなぁ』って驚きはります。

 お勧めは、免疫を良くするものと煎じ薬の併用です。
 気になるお値段は1ヶ月 35,700円です。
 煎じ薬だけの場合は1ヶ月 19,500円です。

 漢方薬は病院のバセドウ病の薬と併用しても大丈夫です。
 良くなってきてから、ほとんどの場合、医師が病院の薬を減らしてくれます。
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Q&Aバセドウ病
Q1.バセドウ病は漢方で治りますか?
A.良くなる人は非常に多いです。バセドウ病は治ると言って良いでしょう。
 バセドウ病の完全治癒とは、自己抗体であるTRAb(抗TSHレセプター抗体)が
 正常値になって、ずっと正常値のままで安定するということです。
 私は手術やアイソトープよりも漢方薬をおすすめします。
      
       一般の漢方との違い誠芳園の漢方の特長
Q2.漢方薬は何ヶ月くらいで効果がわかりますか?

A.バセドウ病の症状の改善は1ヶ月以内に、早くて数日で効果は実感しています。
 遅くて2~3ヶ月くらいでしょうか。

 血液検査上では、FT3、FT4は1ヶ月、遅くても2ヶ月以内に効果が見えます。
 TSHはおくれて、ゆっくりと上がって来ます。
 自己抗体のTRAbは、ほとんどの場合およそ6ヶ月で半分くらいになります。

 半数の人は1年で自己抗体のTRAbが正常値になっています。
 TRAbが正常値になっても、念のため、あと1年間は続けることをお薦めしています。

 しかし、夜更しする人や、ものすごいストレスのある人、頑張りすぎる人は
 良くなるスピードがゆっくりで、2年、3年かかる人もいらっしゃいます。

 また、バセドウ病も一般の疾患と同じように、なって間もない人、軽い人は早く、
 長い経過の人や、重症の人、バセドウ病眼症はゆっくりペースのようです。

参考)西洋医学で自己抗体が正常化するまでの年数。
  ある甲状腺専門病院では2年間で約45%の人が正常化していると報告。
  甲状腺学会では4年~7年で約40%の人が正常化ていると報告。
  ただし、その後の1年間でほぼ30%の人は再発しているとのこと。

Q3.バセドウ病の生活養生を教えてほしいのですが。
A.生活養生は非常に大切です。まずは、夜更ししないこと。
 できれば夜の10時までには寝て欲しいですね。いくら遅くても11時までです。
 次に頑張りすぎないこと。ものすごいストレスがある場合は、なんとか解消してほしいです。
 完治することに関して、生活養生できる人とできない人の差はものすごくあります。

Q4.バセドウ病ですが、海藻類は控えたほうがよいでしょうか?
A.一般にヨードの推奨摂取量は1日あたり0.15㎎といわれています。
 日本は四方を海に囲まれており、十分な量のヨードを海産物から摂取しているので
 1日あたりの平均摂取量は1~3㎎で多いのですが、このくらいは大丈夫なのです。

 バセドウ病では、ヨードを過剰に摂ると抗甲状腺薬でもコントロールが難しくなったり、
 治りにくいという報告があります。バセドウ病治療のガイドラインでは、
 ヨードの制限は必ずしも必要はないとされていますが、それでもヨードは少ないほうが
 治療経過は良いようです。少なくとも過剰には摂らないほうがよいでしょう。

 また、妊娠中ですが、米国では妊娠中のヨード摂取量を
 1日0.5㎎以下にすることを推奨しています。
 わが国では、一般的な食事ですでにその量を超えていますので、
 一般的な食事以上にヨードを摂取することは控えましょう。


ヨードを多く含む食品

食品 1食に摂る標準量 1食あたりのヨード含有量
昆布の佃煮 5~10g 10~20㎎
昆布巻き 3~10g 6~20㎎
とろろ昆布 5g 9㎎
昆布だし汁 昆布として0.5~1g 1~3㎎
ヨード卵 1個 0.4~0.7㎎
ひじき 5~7g 1.5~2㎎
わかめ吸い物 1~2g 0.08~0.15mg
海苔 1枚2g 0.12㎎
寒天 1g 0.18㎎
 

Q5.バセドウ病眼症は治りますか?
A.バセドウ眼症は、
 甲状腺専門病院でも日本漢方や中医学でも症例がほとんどないために
 何年も何年も工夫してきました。  そしてようやく4年ほど前から、
 ずいぶん改善するようになってきました。
 ただし、エキス漢方では難しく、必ず煎じ薬にして頂いています。
 TRAbではなくTSAbが高いことが多いのでチェックしておく方が良いです。

 バセドウ病眼症が、2~3ヶ月で明らかに改善した人もいますが、
 6ヶ月かかって効果が見えてくる人もいます。
 固定化された経過の長い場合や炎症が強い場合は
 時間がかかるように思います。初期の段階には改善も早いと思います。

Q6.バセドウ病で、メルカゾールの副作用が強く出たために
『手術しかない』と言われました。手術をしないで何とかなりますか?

A.メルカゾールの代表的な副作用は肝障害と顆粒球減少ですが、
 その副作用が出ると、病院では手術かアイソトープを勧められます。

 私共にはバセドウ病の人の2割以上の人はそのパターンでいらっしゃいますが
 手術をしなくても、またアイソトープをしなくても、皆さん大丈夫になっていますよ。
 漢方で良くなりますが、念のために、少しの期間だけヨウ化カリウムを併用します。

 ヨウ化カリウムの特徴は3つあります。
 1つ目は即効性がある。
 2つ目は副作用はほとんどない。
 3つ目はいずれ効かなくなる(エスケープする)。などです。
 この3つ目の特徴があるためヨウ化カリウムの使用はされないことが多いのです。
 しかし私共では効果は早いため
 『ヨウ化カリウムが効かなくなる前に治してしまおう』ということが可能なのです。

 漢方薬によって、メルカゾールによる副作用の肝障害などは簡単に良くなりますし
 バセドウ病自体も良くなってきます。

Q7.バセドウ病です。漢方薬と病院のお薬を一緒に飲んでも大丈夫ですか?
A.漢方薬と病院のお薬との併用は大丈夫です。同時に飲んでも構いません。
 そうすると血液検査も良くなってきますので、病院側でお薬を減らしてくれます。

Q8.なぜ漢方の方が良くなる確率が高く、しかも早く良くなるのですか?
A.西洋医学はメルカゾールによって高いFT3やFT4を抑えているだけです。
 漢方ではバセドウ病の病態自体を良くし、高い自己抗体を改善する工夫をしています。
 さらに『ごきげんさんにすごす』ことや、夜更かしをしないようにお願いしています。
 これでは、良くなる確率が圧倒的に高く、しかも早く良くなるのもわかりますよね。

Q9.バセドウ病が悪くなる原因にはどんなことがありますか?
A.私は、バセドウ病が悪くなる原因として、いつも言っていることは
 ①夜更かし②ストレス③頑張りすぎの3つです。この点が非常に重要なんです。

 ストレスとしては主に、
 転職、結婚、離婚、本人や子供の受験、看護、配偶者の死亡などです。
 それ以外には次のようなことがあります。
 ○出産  妊娠中は軽くなることが多いですが
 産後3~9か月頃にかけて悪くなることがたびたびあります。
 ○花粉症
 ○婦人科の子宮内膜症や不妊治療に使われる
 ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(GnRHアゴニスト)
 (スプレキュア・ナサニール・ゾラデックス・リュープリンなど)
 数か月~1年程してから悪化することが多い。
 ○副腎皮質ステロイドの長期連用
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Q&Aバセドウ病と妊娠、出産、遺伝について
Q1.バセドウ病と診断されました。妊娠を望んでいますが、大丈夫でしょうか?
A.大丈夫ですよ。ただ、安全な妊娠・出産のためには
 気を付けておくべき点はありますが、甲状腺機能が正常にコントロールされ
 病状が安定していれば、いつ妊娠しても大丈夫です。
 抗甲状腺薬も、内服しながら妊娠しても問題ありません。
 また、TSHレセプター抗体(TRAb)が非常に高い場合は、
 ある程度下がるまで妊娠を待ったほうがよいこともあります。

 私は手術やアイソトープよりも漢方薬をおすすめします。
 自己抗体はずいぶん下がる人は多いです。

Q2.バセドウ病と診断され、抗甲状腺薬治療を受けることになりました。
妊娠を望んでいますが、胎児の発育や、奇形の心配はありますか?

A.安心して内服してください。ただ、メルカゾールは奇形との関係が疑われます。
 しかし、メルカゾールの内服量と奇形の発生には相関がないこと、
 一卵性双生児の一方だけにみられた例があること、
 またメルカゾールを内服していてもまれにしか起こらないことから、
 メルカゾールが関係しているとしてもそれだけでは起こらず、
 遺伝的な要素やその他の要因が加わらないと発生しないと考えられています。
 しかし、わずかでもそのような奇形のリスクは避けておきたいので、
 妊娠を望んでいる場合はプロパジール、またはチウラジールの内服が推奨されます。

 妊娠中は母体のTSHレセプター抗体の影響が胎児にも及び胎児も甲状腺ホルモンを
 過剰に分泌するようになりますが、妊婦が服用する抗甲状腺薬は母体だけでなく
 胎児の甲状腺機能も抑えますので、胎児が無事に発育するために大事な働きをします。

 そして、母体と胎児の甲状腺ホルモンには強い相関があるため、
 妊婦のFT4を測定しながら抗甲状腺薬の内服量を調整すれば、
 胎児もちょうどいい甲状腺機能にコントロールできます。

 逆に妊婦の甲状腺ホルモンのコントロールが不十分で高い状態が続くと、
 流産や早産の原因になったり、生まれてきた子どもが小さいなどの悪影響があります。
 正常化していれば妊娠はいつまでも可能です。
 バセドウ病の場合は、妊婦が抗甲状腺薬を内服することは胎児にとっても有益なことなのです。

Q3.抗甲状腺薬を内服中です。副作用もなく甲状腺機能は良い状態で安定しています。
そろそろ妊娠を考えていますが大丈夫でしょうか?

A.プロパジール、チウラジールを内服していて、
 甲状腺機能が正常で安定しているのであれば、いつ妊娠しても大丈夫です。

 また、TSHレセプター抗体(TRAb)が非常に高い場合は、
 ある程度下がるまで妊娠を待ったほうがよいこともあります。

Q4.妊娠を望んでいますが、プロパジール、チウラジールが副作用で内服できず、
現在メルカゾールを内服しています。どうすればよいでしょう?

A.バセドウ病が良くなってメルカゾールを中止できてから、妊娠を計画することが理想的です。
 それまで待てない、あるいはメルカゾールを中止できそうにないときは、
 アイソトープ治療か手術による治療も選択肢の1つと言われますが、
 私は漢方薬をおすすめします。漢方薬とLEMでいく方が早く改善するからです。

 ただ、メルカゾールを内服した状態で妊娠してはいけないということはなく、
 内服の仕方を工夫することで問題なく妊娠することも可能です。

 メルカゾールとの関連の疑われる奇形は妊娠4~8週のあいだに
 メルカゾールを内服することで起こる可能性が高まりますので、
 妊娠3週の終わりからメルカゾールを中止して、
 妊娠9週からメルカゾールを再開すれば問題は起こらないと考えられます。

 しかし、妊娠4週の始まりとは最後の月経からちょうど次の月経が始まる前後であり、
 月経の遅れに気づいたときには妊娠4週またはそれ以降になっていることが多く、
 メルカゾールをタイミングよく中止するのは難しいこともあります。

 月経周期が規則正しい場合は、
 予想される月経開始日の2~3日前からメルカゾールを中止し、
 月経が始まればメルカゾールを再開する、妊娠が明らかになったら
 ヨード剤の内服で甲状腺機能亢進症の悪化を押さえるという方法で対処します。

 ただし、バセドウ病の活動性が強く、メルカゾールの一時的な中止でも
 甲状腺機能亢進症が悪化するような方はこの方法も難しいでしょう。
 このような時も、やはり漢方薬をおすすめしています。

Q5.抗甲状腺薬を内服中に予定外に妊娠しました。どうすればよいでしょうか?
A.プロパジール、チウラジールを内服中の方はそのまま内服を継続して、
 妊娠を続けて問題ありません。
 メルカゾールを内服中の場合も基本的には妊娠継続をあきらめることはないです。
 妊娠のわかった時期によって、一時的にメルカゾールをやめることがあります。

 メルカゾールと関連が疑われている奇形の頻度はまれであり、
 メルカゾールを内服した状態で妊娠した子どもの大多数には奇形は発生しない、
 しかしわずかですがリスクはあるかもしれない、ということを十分理解したうえで、
 妊娠を継続するかどうか判断して下さい。妊娠を継続する場合は、妊娠9週または
 それ以降になっていれば、メルカゾールが奇形の発生と関係する可能性のある期間は
 過ぎていますので、そのままメルカゾールを継続します。
 妊娠8週またはそれ以前の場合は、その時点でメルカゾールをいったん中止し、
 妊娠9週からメルカゾールを再開します。
 メルカゾールを中止しているあいだは必要に応じてヨード剤を内服します。

 
2011年から8年ぶりに改訂されたバセドウ病治療ガイドライン2019では
 『メルカゾールは妊娠5週0日から9週6日までは避ける。
 また器官形成期である妊娠4週0日から15週6日まで可能なら避けた方が良いと思われる。
 メルカゾール服用患者でこの時期に妊娠が判明した場合は、
 プロパジールまたはチウラジール、または無機ヨウ素に変更する。
 妊娠16週からはプロパジールまたはチウラジール、無機ヨウ素でコントロール不良な場合は
 ルカゾールに戻すことも可能である』とされています。
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